2018-08-03

音楽からアダルトを語ってみる ”結“


 

いよいよ結論を出す回となりました。
途中からカメラマン(文中ではスタッフと表記)も暑苦しく弁を振るいますが、
それほどに人を熱くさせる音楽とエロの結末。
どうぞご笑覧ください。

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—— 4回目は『結論』ということでお話を聞きたいんですけど、音楽に携わる人としてライブハウスを経営してて、佐藤さんのお話を聞いてると、自分だけが良ければいいって思ってないじゃないですか。ライブハウス自体がもっと繁栄していけばいいっていう考えなので、ライブハウスを経営しているミュージシャンとして、今の若い世代やこれから音楽に関わっていく人に対して、恋愛だったりセックスだったり、音楽と切り離せないものをどういう風に共に在ったらいいと思いますか?

佐藤 もしかしたら今の世代の子たちってすでに切り離してる可能性があるなと僕は思っていて、それはそれで悪いことじゃないと僕は思ってるんですけど、もしかしたら「映画を観る、本を読む、いいバンドのCDを聴く」の中の一つとして自分の恋愛とかセックスをもっと知ったほうがいいよなってとこですよね。

—— もっと知るとは?

 

佐藤 なんていうか、もっと踏み込むというかもっとドロドロになってもいいんじゃないかなと、失敗しようが成功しようが、別れた女に刺されようが、そのくらいまでドロドロして踏み込んでいけば、自分たちの音楽もなにかに作用する気がするんですよ。いいバンドの条件ってそのバンドを見たときに「めっちゃカッコいいけど俺でも出来る、俺もバンドやろう!」って思わせるバンドって凄い良いなと思ってて、それと同じで「やっぱり俺あの子とセックスしたいわー」とか「あの子と絶対付き合いたいわー」っていう気持ちになって欲しいなって思うんですよね。そのために本人がもっとドロドロした恋愛をやればいいんじゃないかなって。もっと踏み込んでいって欲しいですけどね。

—— どうしたら踏み込めますか?

佐藤 どうしたら踏み込めるかなぁ、皆。でもやっぱり恐れないことだと思うんですよね。

—— 恐れてるんですかね?

佐藤 恐れてるんじゃないですかね。僕もたまにありますよ「これ以上いったら嫌われるんじゃないか」とか、セックスにしてもそうじゃないですか「これ以上要求して大丈夫かな、本当はこういう風にしたいけど」ってちょっと我慢してる人って多いんじゃないんですかね? それはバンドマンに限らずだと思うんですけど、バンドマンはそれやっちゃダメだよなって思います。もっと深みに行って欲しい。

—— 音楽じゃなくても、芸のためなら女も泣かすっていう人を全く見ないですもんね、芸の肥やしになるならっていう考えの人が。

佐藤 でも意外といますね、俺の周りはみんな泣かせてますね(笑)。

—— 自分の肥やしに出来るくらいに?

佐藤 してますしてます。でも芸人さんは逆にまだ肥やしにしてるかもしれない。

—— さっきカメラマンと話してたんですけど、本当の恋愛上手って恋愛でどれだけ泣いたかだと思うって話をしていたんですね。ザクザク傷つけられて泣いて、だんだん上手くなっていくものだと思うんです。だから泣かない恋愛をしてる人は上手くならないと思ってて、泣かないようにお互い傷つけ合わないうちに別れようとか、そういうのはダメなんじゃないかって話をしてて。

佐藤 それはあるかもしれないですね。

—— お互いにとことんまで傷つけ合って、もうこれ以上は無理だっていうところまで。

 

佐藤 分かりますねー、バンドマンはその手前で終わるかもしれないですね。

—— でもそこまでボロボロになって繰り返していく人のほうが恋愛が上手い気がします。

佐藤 それと、魅力的ですしね。

—— 耐性も出来てくる(笑)。

佐藤 それもあるかもしれない(笑)。俺もだいぶボロボロになりましたからね深みですよね。深いところまでいかないと。

—— 「芸人」っていう一括りだったら、そこまでしないと芸の肥やしにならないと思うんです。歌を歌ってる人でも深みが出てこないし歌詞にも出てこない気がするんですよね。

佐藤 そうですね、そういう意味では草食系のバンドマンは増えてますよね。でもそういう人たちに「恋しろ、やれやれ!」っていうのはまたちょっと違うなぁと思ってて。「行ってみたら一つ扉が開くぞ」っていう、若い世代が憧れてたバンドって実はそうだったと思うんですよ。だからそれも追っていって欲しいと思います。

—— 吉井和哉さんに憧れてる人って多いじゃないですか。そういう人に「吉井さんのどこが好きなの?」って訊くと音楽はもちろんなんですけど、人間性が好きっていう人が多い。でも私の予想ですけど吉井さんも結構やんちゃしてるハズなんですよ(笑)。色々なことをやってああなった人だと思うから、そこを経て吉井和哉になってるので、そこまでなって欲しいなと思うんですよね。音楽以外のところで自分の器を広げるみたいなことも私はあってほしい。

佐藤 逆にその目線って意外とミュージシャンには無いんですよ、好きなバンドがいたら、そのバンドが何を好きだったかを追ってコピーしてっていう段取りは踏めるんですけど、その人の恋愛じゃないけど経験値を踏むことって出来ないじゃないですか、それって恋とかセックスで踏めるんじゃないかなと。だからこれからは音楽のコピーの教科書にも「恋すべし!」っていうのがあってもいいですよね(笑)。

—— ついでに私の意見ですけど、ノーマルじゃダメですよね(笑)。

 

佐藤 そもそもノーマルな人はいないですから(笑)。

—— 今はノーマルな人が多いんじゃないですか。

佐藤 でもそれを心に隠してる部分だから、それを開いてちょうだいっていう。むちゃくちゃな要求をして彼女に怒られたっていいじゃないかと。

—— 口に出さずとも、そういうのは滲み出てくるから(笑)。

佐藤 そうですね、でもそれが絶対いいですよね。

—— 人に言えない性癖を持つっていう。

佐藤 あ、それ最高。バンドマンは全員そうあるべき(笑)。言わなくていいから。それ良いかもしれないですね、俺「この人カッコいいな」って思う人って絶対みんなそうです、絶対俺に言えない性癖を持ってると思う。

—— 変態臭がするんですよね、カッコいい人って。

佐藤 それ分かります。

—— 絶対普通じゃないっていう。

佐藤 それだそれ(笑)。

 

—— ライブハウスって凄くいい環境だなって思うんですけど、恋愛をはじめるとか今までの自分とは違う扉を開けるっていうのにいい環境だなと思ってるから、そういう空間であって欲しいなっていう願いがあります。

佐藤 それは今日話していて思いました。新しい音楽とか新しい友だちもそうですけど、新しい恋愛の場であったら最高ですよね。今日からバンドに言います(笑)。

—— (笑)。

佐藤 もっとエロくあれと。

 

 

 

—— さっきリハーサルを拝見したんですけど、最近バンドじゃなく、一人でオケで歌ってる人が多いんですね。

佐藤 ここ4〜5年で急激に増えて。

—— バンドじゃないんですか?

佐藤 もちろん割合にしたらまだ少ないんですけど、増えました。

—— 自分で打ち込み?

佐藤 っていう人もいれば、誰かにオリジナルを作って貰う人もいます。逆にコピーだけっていう日もあって、始めたばかりの子たちとかはコピーだけ歌ってっていう日もあります。きっと第一に身軽っていうのもあるし、全体的な流行りなんですよね。

—— 誰からはじまったんですか? 誰かが口火を切ってっていう感じなのかと思ってました。

佐藤 そういう感じじゃないですね、でも大元の大元でいえばEXILEとか三代目J Soull Brothersとかが根本にあるのかもしれないです。

—— LDHが根本?

佐藤 そこに憧れてっていうのもあるかもしれないですね。同じ流れで、アイドルがオケで歌いはじめてニコ生とかで歌ってみたみたいな感じで、それを実際ライブでやってみようっていうところからの流れもありますし、今はそれが多くなってきてますね。動画スタートというかアニソン(※アニメソングの略称)歌ってみたていうのを見て、それを自分もライブでやってみたいっていう人が多いです。

—— ファンは付いてくるんですよね?

佐藤 ちょっとずつですけど、ついてきてます。アイドルのオタクと一緒でそういう人たちを専門で追っかけてる人も増えてきてるし。でもあの世界はもう少し生々しくて、バンドマンとバンギャの今の一線を画した恋まではいかなくて、もうちょっと違う生々しさがあって「こいつら、ヤッてんな」みたいな。

—— ある種、健全なんですね(笑)。

佐藤 「こいつとこいつ、ヤッてるな」みたいなのは臭うから、そっちのほうが生々しいのが残ってるのかもしれないです。

—— LDHから始まるんですね。

 

スタッフ はじめて聞きました。けど町田とか歩いてるとああいう形式で駅前でやってる人も多いです。歌もLDH系の。

佐藤 どこからなんだろうなぁ…、昔コーラスグループみたいなのが流行った時期はありましたけどね。ゴスペラーズ的なことを若者がいっぱいやりだした時期はありました。

—— ボイパが流行った時期ですかね。

佐藤 今はそういうのが増えてきてるんですよね。

スタッフ 人とやるのが面倒くさくなってきてるっていうのもありそうですね。

佐藤 バンド組むと練習しないといけないから、一人だとすぐ出来ちゃうんで、その手軽さもあります。

スタッフ 米津玄師さんも人とやると自分の想像の100%が出来ないから、バンドもやってたけど結局一人でやることにしたらしくて、結果売れて一人でやってるし。

—— 米津さんは良い意味で凄いナルシストだと思いますね。かなりなところまでいってそう、昭和の文豪に多いタイプ。彼とか星野源さんはそんな感じです、でもそれも時代が繰り返してるのかなと思うんですよね。なるほど、そういうのが流行るとうじゃうじゃと出てくるんですね。

佐藤 多いですね。

—— エロいっちゃあエロいですね。

 

佐藤 そうなんです、あっちのほうがバンドよりも生々しいです。

—— 「上手い」っていう価値観も昔と違うのかなと思って。たとえば歌が上手いと評判のアーティストの曲を一通り聴くとどこから聴いたのか分からないぐらい同じに聴こえるんですよね、歌い方が一緒で。それを昔は「上手い」とは言わなかったんです。アルバムを延々とリピートして聴けるっていうのは、全部違う歌い方だからなんです。

スタッフ それはなんか分かる気がします。

—— 昔のミュージシャンで歌がうまい人は全部歌い方を変えたりしててっていうのを上手いって言ってた。

スタッフ 例えば誰が上手いってなるんですか?

—— 甲本ヒロトさんもそうだし、全部違う歌い方じゃない? どんな歌を歌ってもその人になるっていう、それを上手いって評価してた。

佐藤 変わってきてますよ。

—— 昔、近藤房之助さんのどハマリしたときがあって、おどるポンポコリンを歌ってもちゃんと近藤房之助になってるんですよ。井上陽水を歌ってもそれはそれでカッコいいし、でも彼は全部歌い方を変えてた。

佐藤 情緒がありますよね、みんな。

—— お酒飲んでライブやる人はあんまりいないでしょ?

佐藤 今は減りました。

 

スタッフ 「このバンド変わってるな」って思っても計算してやってる人ばっかりだと思います、そうじゃないと売れない。

佐藤 そうじゃないと大人が扱いきれない(笑)。

スタッフ 昔は本当に根っからのグレてるっていう人がいらっしゃったと思うんですけど。

佐藤 そういう意味では本物は少なくなりました。

—— ずいぶん変わってしまったんだなと思って。それは良いのか悪いのかっていうのは思いますね。

佐藤 その根本にずっと話してた恋愛とセックスがあるのかもしれないですね。

 

 

—— いろんな価値観が時代によって変わったとともに、失ってほしくないものも多いなって。それはやっぱり佐藤さんのように昔を知ってる人が、うまく今の世代の人たちを誘導していくという意識でいてくれると変わるんじゃないかと思いますね。

佐藤 でももしかしたらそうかもしれないですね、変わっていくものは仕方がないし、みんなそれぞれの価値観が増えていくので良いと思うんですけど、その中に「こういうのもあるよ」って提示していくというか「昔からのものであれだけど、良いもんだよ」っていうのは言っていかないといけないなっていうのは、今日から俺も言い続けます(笑)。

—— シブメグさんの回でカットしたんですけど、その人の音楽にシビレて、その音楽でオナニーとかしないでしょ今って(笑)。しないって言ってたけど「分かるでしょ!? この感覚!」って言ったら「う、うん…」って(笑)。

佐藤 そこまで出来たら本物ですよね。

—— シビれ過ぎてそこでオナニーするのもいいじゃんって思うんだけど、今の子は無いのかな?

佐藤 それぐらいメロメロになるっていうのは今の子は無いと思いますね、僕ですらそれは無いし。感覚は分かるんだけど。

—— いいものは繋いでいっていただきたい。

佐藤 そうですね、今日のことはこれからアウトブレイクに出るバンドに伝えていきます。

—— 「エロくあれ!」って(笑)。

 

佐藤 そうそう、今日凄い思いました話してて、確かに! って。

—— 失っていいものと失ってほしくないものがあるんですよね。

佐藤 ありますよね、変わるのはいいけど失ってほしくないものは昔の人じゃないですけど、俺たちが新しい人に言わなきゃいけない気がしますね。

—— 布教活動みたいな。

佐藤 そうですね(笑)。これが布教活動なのかもしれないです。

—— でも未だにビートルズがいいって思われてるってことは良いものは残ってるってことなので。

佐藤 巡り巡って残っていくと思うんですけど、それも僕らっていうか、その世代の人の地道な活動がそうさせてるのかなと思いますね。

—— 今の子って「ビートルズって、ミスチルに似てるよね」っていうんだって(笑)。

スタッフ 凄いですねそれ(笑)。

 

佐藤 逆転現象が起こってますよね、みんな掘り下げないから(笑)。好きなバンドが一代で終わっちゃうんです、そのバンドのルーツとかを掘り下げない。

—— ファミリーツリーが出来上がらないっていう話はシブメグさんもしてました。

スタッフ 対バンしてたバンドのライブに行くっていうことも無いんですか?

佐藤 それはあるみたい。

—— そうやって「このバンド何! カッコいい!」って追いかけるってことは今でもありますよね?

佐藤 ありますね。

—— だから対バンって大事なんですね。

佐藤 それは大事ですね。

 

—— 全然違うジャンルをぶっこんでいくっていうのも楽しいですし。

佐藤 そうですね、それは僕らの楽しみでもあって。

—— ちょっと前にいか天って深夜番組があって、インディーズバンドが出てくる。

佐藤 僕もギリ観れてない世代なんですけど。

—— そこからBEGINとかビジュアル系もずいぶん出てきたんだけど、勝ち抜き戦で専門家の審査員とかいて、最後のグランドフィナーレにいったらメジャーデビューみたいな感じになるんだけど、いろんなジャンルのバンドが出ててそれが面白くて。その番組がバンドブームを作ったと思うんです。「たま」と「BEGIN」とビジュアルバンドが一緒になってるっていう混ぜご飯状態、MALICE MIZERとかもそこから出てきてるんですよね。

佐藤 登竜門的なものですね。

スタッフ 今は人間性と人間性じゃなくて、同じような人が固まるし。

佐藤 なんでもグチャグチャなのは凄く大事なんですよね。

スタッフ そういうの凄い観たいですね。

—— そういうのがあると自分の審美眼みたいなのも鍛えられますよね、良いものはいいって分かってくる。

 

佐藤 幅も広がるし。

スタッフ 比較もできますよね、自分の軸ができる感じがします。

—— ありがとうございました。

 

はい、暑苦しく終わりましたが、佐藤さんが一番冷静だった気もします(笑)。
こんな3人にお付き合い頂いてありがとうございました。

どんな人の心にも、音楽はあり、時代と共に思い出があると思うのです。
だからこそ、大切に継がれていって欲しい想いや、熱があります。
(かなり押し売り的ではありましたが。笑。)

これからの世代が、どんな音楽を表現するにしても、
温故知新の精神を踏まえて行ってほしいなと老婆心ながら思うのです。

さて、次回の対談は、ちょっとお休みをいただいて、
別な執筆作業に入らせていただきます。ごめんなさい。
また復活する際にはご報告させていただきますね。

でも面白そうな人がいたら急に始めるかもしれません。
その辺りは風まかせで。笑。

読んでいただいてありがとうございました。

 

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今回のゲスト:四谷アウトブレイク佐藤 ”boone ” 学さん

 

 

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撮影協力:喫茶室ルモンド(四谷)

遥美沙樹 #ootd
・ジャケット:ポールスミス
・Tシャツ:ポールスミス
・ボトム:メルシーボーク
・サンダル:shaka Neo Bungy Platform 433037W

 

#artsy
#photooftheday
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