2018-06-04

カルチャーをアダルトに話してみよう ”起“ 後編


※※※これは後編です。前半はこちら

 

★ここはバーではなく【場】。

 

—— アダルトに限らずほかにどんな人が来られるんですか?

シブヤ 可愛がってもらってるのは柳下毅一郎さんとか高橋ヨシキさんとか映画秘宝がらみの皆さんっていうとちょっと雑なくくりになっちゃうんですけど、あとはミュージシャンのかたも色々来てますね。RHYMESTER宇多丸さんには可愛がってもらってます。あと元シュガー・ベイブ村松(邦男)さんてかたがいるんですけど私がオープンしたときから「メグちゃ〜ん、ちゃんと《浮かんでる》の?」って心配しながら来てくれるっていうありがたいですね。あともう亡くなられちゃったんですけど一番に来てもらえて嬉しかったというか「浮かぶ」っていうお店にとって大切な言葉を残してくれたミュージシャンは石田長生さんていうCharさんと「馬呆(BAHO)」っていうバンドをやってたかたで。お店をやってて最初の一年は皆さんご祝儀でバンバン来てくれて潤ってたんですよね、でもご祝儀《浮かび》がなくなって、お茶をひくっていう日が来て「これが水商売か」ってぼんやりしてたときに、石やん(※石田長生さんの愛称)が新宿でリハやってたのかな、それで来てくれて。「おーやってるやってる、いい店やんかー!」って言ってくれたんだけど、「でもやっぱり一年経つとこうなんだよ。」って話をしてくれて。今でこそ「浮かぶ」は新宿で一番お酒の種類が少ないです!とかカクテルの作れないママがバーのママやってます!ってちゃんと言えるようになりましたけど、そのときは本当にさすがにシャカシャカしないといけないんじゃないかとか、お酒の種類を増やさないとダメなのかなって、凄い悩んでて相談したんですよ。そのときに石やんが言ってくれたのは「浮かぶはバーっていう経営形態を警察に提出したっていうだけで、ここはバーじゃなくて【場】やで。」って言ってくれたんですよ。「ダジャレだけど。」って言って。でも本当にバーじゃなくて場だと思えば、それはもうこの業態でいいってことにならないかって話をしてくれて、「あ、そっか!」って。それから腹が決まったっていうか、そこから今の営業する日を《浮かぶ》、営業しない日を《沈む》っていうようになりました。

 

 

—— お店を見渡すと何かしらが、来てるお客さんのツボにハマりますよね。どんなジャンルも受け入れる懐深い店だと思いますよ。まったくカルチャーに無関心っていう人っていないと思うんですよね、映画であったり音楽であったりアダルトだったりアニメだったり、ここにある何かしらにヒットするんですよね。

シブヤ はい、それは私が楽しいことが我慢できない病気だからなんじゃないかと思いますね(笑)。

—— 結局何が好きなんだこの店はっていう(笑)。

シブヤ そうそう、全部好き(笑)。

—— いわばめちゃめちゃなんですよね。

シブヤ めちゃくちゃですよね〜(笑)。

—— でもこれが「浮かぶ」なんだと思うんですよね、このめちゃくちゃ感が。

シブヤ そうですね〜、だから本当によく言うんですけど私は本を読むのがもの凄く好きで、色んなジャンルの本を読みますけど、一番最初に夢中になった作家は誰って聞かれて、やっぱりパッと浮かぶのは赤川次郎だったりするんですよね。

 

 

—— 私もそこからはじまりました。

シブヤ ですよね、本を読む筋肉というか基礎体力をつけるには赤川次郎だから、「赤川次郎!?」って半笑いで言うヤツは半殺しにしてやるっていう気持ち(笑)。恩人なんだよっていう気持ちになるというか。

—— 本って、こういうものかっていう。それまでは私にとっての本はオナニーのためのものであったりとか、読書が目的じゃなかったんですが(笑)。赤川次郎って本好きの方向へ入ってくる若者にはすごくいい教科書ですよね。

シブヤ そうなんですよね。恩人です。

—— でも本の意識はないかな、そうでもないか。

シブヤ この辺が本なんですけど、一応飲み屋なんで眺めながらっていう前提の本しか置いてないですね。あとは私が仕込みや掃除をしてて、パッと顔を上げたときに「自分の原点はこれ!」って思うような本を置いておくっていう。唐十郎であり寺山修司であり、永山則夫でありっていう。そういうのを置いて自分のふんどしを締めるっていうのはやってますね。

—— 私の友達が寺山修司みたいな生き方がしたいって言ってるんですけど、難しいよって話をしてて(笑)。

シブヤ 「職業 寺山修司」なんてカッコいい名刺が持てるのは寺山修司しかいないですよね、本当に「なにそれ、カッコ良すぎる!」って(笑)。

—— 今では普通にそれ言ってる人いっぱいいるよね。

シブヤ 片っ端からひっぱたいてやりたい(笑)。

 

 

—— 最近だと『あゝ荒野』ですね。

シブヤ そうですね、今私のマイブームは菅田将暉ですね。

—— アダルト関係に関わってる人は綾野剛と菅田将暉にヒットしますね、なぜか。

シブヤ そうなんだ!

—— なんなんだろう、あの二人は。

シブヤ かわりが効かない二人ですよね。

—— カメレオン俳優ですよね。

シブヤ うんうん、そこだろうなやっぱり。

—— あんなにコロコロイメージが変えられる人って。

シブヤ 凄いですよね。普通カメレオン俳優ってバイプレーヤーの人が多かったけど、主役張れる人間でカメレオンって呼ばれる人っていなかったからそれは凄いな。

—— 以前、神田つばきさんにお話しを聞いたときに「絶対に綾野剛とSEXする!」って言ってて。

シブヤ マジですか?

—— 「自分が口にして叶わなかったことが無いの!」とおっしゃってました。

シブヤ 凄い!

—— でもそういう気持ちは大事ですよね。

シブヤ 大事ですよね。

—— 寺山修司になりたい人は寺山修司になればいいんだよ!

シブヤ そう、なればいいの!

 

 

—— でも今なかなかああいう色気を持ってる男の人が少なくなってきて、綾野剛さんも菅田将暉さんも色気があるかって言ったら「うーん、ちょっと違う」というか。

シブヤ いわゆる「色気」とは違いますよね。

—— 寺山修司は三島由紀夫を匂わせる感じの雰囲気を持ってる気がします。

シブヤ 危ないっていうか危なっかしいというか、そこは凄くありますよね。

—— 私の中では三島由紀夫と同じカテゴリーなんです。

シブヤ 作家性もあるんだろうな、言葉と格闘してきてるっていう。三島由紀夫も色々「金閣寺」とかああいうものがクローズアップされがちですけど、「三島由紀夫のレター教室」とか見ると凄く軽いものも書けちゃう人だし、寺山修司もああいう突飛な「天井桟敷」にしろ「職業 寺山修司」にしろそこがクローズアップされるけど、短歌とか俳句の時代って言葉っていうものをどうチョイスしてどうやって出すのかっていうのを、これほど考えてる人っていないなって思いますから。あとラジオドラマの寺山修司が凄くて、ただの朗読なのに全部分かるっていう、そういうところが本当に似てるのかもしれないですよね。

—— そこをエロいと捉えてしまうんですよ、私。

 

 

シブヤ 分かります。お客様と「色気の定義ってなんだろう?」って話をよくするんですよ。露出が高いことが色気なのか、男の人だったら筋肉隆々なのが色気なのかとか色々話すんですけど、そうじゃないだろうって、色気っていうのはその人自身の美学がちゃんとど真ん中にまっすぐあって、ただその美学っていうものからポロッとこぼれるものがどうしてもある、それがきっと色気なんじゃないかって言って、そこだ! って言ってたんですよね。

—— どうしたらそういうものを手に入れられるんでしょうかね。

シブヤ こればっかりは売ってても買ったってしょうがないと思う(笑)。

 

 

★ググる前に跳べ!

—— それを手に入れるために今の若者はどうすればいいんでしょうね?

シブヤ 何したらいいんだろう…? それを手に入れるためにこうしたほうがいいよって言われたことを「俺はそんなことしねーよ」って言って逆の道をわざといくのも大切かもしれないですよね。

—— 私もそう思う、まず転べって思う。

シブヤ まず転んで起きるんだっていう、そこですよね。それなんじゃないかなって思う。本当に道なき道を行かないもんなぁ。方位磁石を壊せっていう、そこですよね。ググる前に跳べ!っていう。

—— ちょっと前の映画で園子温の「愛のむきだし」って、ああいう生き方ができれば色気が出てくるのかなと思ったんですよ、むきだしで生きていくっていう。

シブヤ 本当にむきだし感っていうのは足りなくなってきてるんだろうなって思いますね。

—— 色んなことを考えながら生きるからむきだしじゃなくなってきてるけど、あの映画がヒットしたのは「こんな生き方が出来たらな」って思った人が多かったんだろうなって思います。

 

 

シブヤ 本当そうですよね。だからいわば仮面ライダーを見るような目で見るというかそういうところなんだろうなと思いますよね。

—— でもそこは結構世界共通なのかなと思ってて、MARVELの映画が今でもあんなに支持されるのは絶対に皆どこかでそうなれたらいいなって思ってるからじゃないのかなって。

シブヤ ヒーローが欲しいんですよね。自分の中にヒーローやアイドルがいるほうが絶対に人生が間違わないというか、転んでも起き上がれるっていうのは本当にそういうことですよね。

—— その辺が足りないのかもしれないですね。

 


 

賢明な皆さまはお気づきかもしれませんが、彼女の話、ひとつが長いでしょう?(笑)。
これって水商売のプロの特徴なんですよね。
決して聞き上手だけがプロなのではなく、自分に引きつけるという技術なんです。
編集は彼女の特色を削りたくなくて最小限にしましたが、いかがだったでしょう?
次回、次々回と、話は「えっ?!」という内容になっていきます。
私がどうしても埋もれさせたくなかった話もでてきます。
どうぞご期待ください。

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今回のゲスト:Bar 浮かぶ 2代目店主 シブヤメグミさん

 

 

年齢経歴一切NG。(たぶん30代か40代。笑。)
完全会員制《浮かぶ》の2代目ママとして8年目。
あらゆるカルチャーに精通していることは、浮かぶのTwitterを追うと一目瞭然です。

浮かぶTwitter

遥美沙樹 #ootd
・トップス:メルシーボーク 
・腕時計:ヴィヴィアンウエストウッド

 

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