2018-06-03

カルチャーをアダルトに話してみよう ”起“ 前編


 

時代と常に寄り添うように流れて来たものは、決して政だけではありませんよね。
文化、風俗…それらも、先人の尊い知恵とともに、現代に受け継がれて来ました。
今回から少しこの対談は嗜好を変えて、あらゆる方角から見た「恋愛」であったり「SEX」であったりを語って頂きたいなと思うようになりました。
なので、お呼びするゲストも多種多様になってゆくと思います。

その最初を切るのは、私が彼女の話をどうしても闇に置いておきたくなかったという理由から、お願いしました。
彼女は決して著名人ではありません。しかし、知る人ぞ知る。
どんな時代にも、その時代を支えた影の本当の功労者がいます。

 

彼女も、そのひとり。

 

なぜ彼女をお呼びしたのかは、対談を追うごとに明らかになっていきます。
まずはご挨拶代わりにと、好き放題のコミュニケーションをしてみます。

 

その店の名は「浮かぶ」。店主は2代目、シブヤメグミさん
しかし残念ながら顔出し完全NG。
繁華街から少しだけ離れた場所にひっそりと佇むその店は、完全会員制、完全紹介制という鉄のルールがあります。
なので、ここでもHPはおろか、場所も開示しません。

 

営業する日を《浮かぶ》。
営業していない日を《沈む》。と言います。

 

『今日、浮かんでるー?』
『ごめんなさい。今日は沈みます。浮かぶ予定だったみなさまごめんなさい。』

 

そんな会話のやりとりをよく目にします。
今回はみなさんもバーチャルで《浮かんで》いただきましょう。

 

さて、入りますよ…。

 


 

 

★からんころん

 

—— まずはシブメグ(シブヤメグミさんの愛称)さんのご紹介から始めたいなと思います。知らない読者もたくさんいると思うので。

シブヤ えー知らない人に分かるように(笑)。なんだが照れますね…。

—— 『浮かぶ』を経営される前、元々は何の仕事をしてたんですか?

シブヤ 元々は私はNPO法人の職員だったんですよ、ざっくり言えば「子ども電話相談室」みたいな仕事をしていて、イジメとか家庭の問題で悩んでいる子ども達が電話をしてきて話を聞いてくれっていう、その話を聞いてレポートをまとめてっていうのをずっとしてたんですよ。だから全然バーのママとか店を経営したいっていう野心も一切なく、それを呑気にやってました(笑)。

—— 元々ここのお客さんだったんですか?

シブヤ それが常連でもなんでもなくて、私『浮かぶ』のママは二代目なんですけど、全然常連でもなくって、たまたまこの狭い店で知り合いがライブをやるっていって。

—— ここで?

シブヤ そう、アコースティックのライブをやるっていうんで、面白そうなお店だし行こっかなーって来たのがきっかけです。一枚板のカウンターと、地下なのにこの天井の高さと、お店が凄い素敵だったんで、ワーってテンションがあがって(笑)。そのとき初代のママさんに「可愛いお店ですね!」って言ったんですよ。それが6月6日だったんですけど、そうしたら「7月の末で閉めちゃうからそれまでせいぜい遊びに来てね。」って言われてびっくりして。「無くなっちゃうなんてもったいないですね、カウンターも凄く見事だし。」って話をしたんです。そうしたら「7月末で閉めたら原状復帰、いわゆるスケルトンにして、床もカウンターも棚もなにもかも潰して、大家さんに返さなきゃいけないから悲しいは悲しいんだよね。」って。「跡を継いでくれる人がいたら、これをこのまま居抜きで渡せるよ。」って言われたんで、その場で手を挙げて「私やりまーす!」って。

 


※浮かぶの名物「岩下の新生姜のタルタルソース」を実演していただきました。

 

—— 初対面だったんですよね!?

シブヤ そう、初対面です。しかも水商売の経験はホストクラブの皿洗いのバイトしかなかったんで、ど素人です。

—— 大人への接客は、それまで一回もなかったんですよね。

シブヤ ないない。子どもの悩み事を電話で聞くっていうのはあったけど、あとは色んな裏方をやってきたんで、物販でCD売ってまーすとかそういうのは散々やってましたけど、「いらっしゃいませ、何お飲みになります?」みたいなことは一切やったことがなかったんですよ、飲食店でさえ全然やったことなかったし。それでも「やるやる! やるわよ〜!」なんて言ってヘラっと手を挙げて言って、そのときそのお店にいた常連さんたちが「お姉さんちょっと待てや。」と(笑)。「やっぱり勢いでそういうことは言っちゃいかん。」って言われました。「まず一週間考えろ」って言われて。「あ、そうですか。とりあえずやるっていう気持ちはあるんで宜しくおねがいします〜!」ってその日は帰りました。それで一週間考えたんですけど、1週間の間に浮かんだことって、色々あれこれ思いつくもの全部バカみたいに楽しいことしか浮かばなかったんですよ。

—— ここのお店に入ったらあれをやって、これをやってって?

シブヤ そう、レコードプレーヤー置いてレコード聴こうとか。

 

 

—— リスクマネジメントは考えなかった?

シブヤ なんにも(笑)。原価率がとか売上が悪かったときにどうするのかって一切考えなくて、真っ白い壁があったからプロジェクター買ってDVDとか繋げたら皆で映画が観られるー! とかそんなことしか浮かばなくて「楽しそうー!」ってキャッキャしてて「やりまーす」って(笑)。

—— 元々友達が多かったんだ?

シブヤ いや、それは全然考えてなかったんです。友達がいっぱい来てくれるだろうからきっと大丈夫っていうのもまったく思いませんでしたね。

—— とにかくここでやりたかった?

シブヤ そう、やりたかったっていう。とにかく「このお店可愛い!」っていうそれだけ(笑)。

—— お客さんもゼロではじめた?

シブヤ はい。本当に…アハハハ(笑)。

—— 今何年ですか?

シブヤ おかげさまで今年で7年目です。私が二代目になって7年目でお店自体も12年目なんですよ。

—— 初代のときから来てるお客さんもまだいるんですか?

シブヤ いらっしゃいますね!

—— 初代のママさんがやってらしたのはこういうカルチャー系?

シブヤ 全然なんですよ、それが。

 

 

—— ワインバーでしたっけ?

シブヤ そう、ワイン。だからボジョレーヌーボーのときは樽一個買ってましたもん。樽に蛇口を付けてもらって皆に振る舞うってこともしてたし、ビンデージのワインを年に二回ぐらい飲むっていうのをやってて…。

—— 初代とガラッと変えましたね。

シブヤ ガラッと変わっちゃいましたね(笑)。もっと言えば値段もめちゃめちゃ高い店でしたよ。ビール1本1万円でしたうよ(笑)。

—— ええ?! 銀座価格?!

シブヤ んふふふ(笑)。初代のママさんのファンだったんですよ、お客様が全員。もう好きで好きでしょうがなくって、「そろそろ帰るね」って言うと、「あ、どうしよう伝票付け忘れちゃってた〜。」ってママが言うわけですよ。そうしたらお客様が「しょうがないな〜」って言って財布丸ごと渡すんですよ。

—— !!

シブヤ 今いいリアクションだったなぁ(笑)。「しょうがないなぁ、はい。」って財布丸ごと渡して「ごめんねぇ。」ってママがそこから3万円抜くとか。今日は誰も来てないからいいかな〜って5万円抜くとか本当にそういうお店だったんですよ。で、最初は初代のお客様はそのつもりで来てたんで「こんな安い値段で大丈夫なの!?」って言われたりとかしまして…。で結局お金をそんなにもらう度胸がなくて現在にいたります(笑)。

 

 

—— それは私も心配するほどで…(笑)。商売っ気が無さすぎというか。ここはお酒を飲ませないからですよね(笑)。

シブヤ そこですね(笑)。私が酔っぱらいとか二日酔いが嫌いなんで「酔わないでね!」ってつもりでお茶とかお水をバンバン継ぎ足しで出すお店になりました(笑)。

 

★安田理央と二村ヒトシから拡がった。

 

—— まず二代目になってAVの関係者が来るようになったのはどうしてですか?

シブヤ 元々、ライターの安田理央と仲が良くて。ダリオ(※安田理央さんの愛称)が来てくれてっていうのもありますし。

—— 安田さんとの関係は?

シブヤ もう20年くらいかなぁ…、もう本当にすごい前からですね。あとは二村ヒトシさんも私が19歳のときにお芝居の裏方とか色々やってるときに、ニム兄(※二村ヒトシさんの愛称)もお芝居をやっていて。当時、中野でニム兄が芝居やっててうちの劇団もお芝居やってるときに、打ち上げで合流しようかっていうことがあってそれが最初ですね。AV関係者で知り合ったのが一番古いのは二村ヒトシさんですね。そのときに忘れもしない二村ヒトシさんが打ち上げのときに、色んな劇団の女の子に「ねぇねぇAVに出ない?」って言ってて。今なら問題言動ですけど(笑)。そのときすでに男優やったり監督やったりしてたんで、「AV女優にならない? 綺麗に撮ってあげるよー。」って色んな人に言ってたのに、私にだけは「AV監督にならないか?」っておい!ちょっと待て!みたいな(笑)。「よく見てみいや、この中で一番オッパイでかいの私だぞ、なのになんで私にはAV女優にって言わないんだ、そんなに私の顔がダメなのか?!」みたいな話を散々してたら、「違う違う、きっとシブメグはAV女優よりも監督のほうが向いてる。」って言われて、「こんなに楽しそうに裏方やってる人なんていないよ。」って言ってくれて、「演者のために楽しそうにあれだこれだやってくれる人はいないからそういう意味でも女優よりも監督のほうがいいと思うんだよね」って言われましたね。

 

 

—— でもやらなかったんですね。

シブヤ やらなかったですね、AVはお客様でいいよって思いましたね。

—— その二人が柱になってるんですね。

シブヤ そうですね。

—— その他の人たちはそこにまつわってきたんですね?

シブヤ よくニム兄の作品で、メイクやってる子の誕生会をここでやろうって言ってくれて、そこでAV監督さん達がいっぱい来てくれたことがあるんです。「よく名前聞く『浮かぶ』ってここなんだ〜!」って言ってくれました。

—— どんなかたが来られるんですか?

シブヤ カンパニー松尾ビーバップみのるですかね。

—— ハマジム ※リンク先R18系ですね。

シブヤ そうですねぇ…。あとはみならい君っていうスチールカメラのほうかな?

—— みならい君はAD職人みたいな方ですよね。

シブヤ そうかも。

—— 最近は監督もやってるけど、ADが職人レベルっていう人も多いと聞きました。

シブヤ そう。でもみならい君が撮る女の子の写真は凄くいいですよね、パケ写(※パッケージ写真の略称)とかもすごく良くって。あと高円寺ゴローさんなんかも。

—— AV監督祭りが起きてますね。

シブヤ 祭りおきてますね(笑)。

—— 女優さんなんかも来ます?

シブヤ いらっしゃいますよ。女優さんは撮影が終わったあとの夜中に来てうちの晩ごはん並のお通しを食べて帰るっていう(笑)。

—— 新宿界隈に住んでる女優さん多いですね。

シブヤ 多いですね、アクセスがいいのかなぁ。

 

 

 

★アダルトにまつわるエトセトラ

 

—— 元々劇団もやってたっていうのもあるんでしょうけど、アダルト業界の人と仲が良かったことで、自分もアダルトやセックスやセクシャリティってものに対する価値観って、人とちょっとズレるじゃないですか。ズレるというか影響されつつっていうのはお互いにあったと思うんですけど、自分の中で変わったなってことはありますか?

シブヤ 大抵のことにはビックリしなくなったってことですね。人間の数だけエロの形があるっていうことですよね。昨日聞いてビックリした話は凄い美人の女性がいて、この人本当にモテモテなんだろうなって人なんだけどまったく彼氏がいない、というか作る気もないって言ってて。なぜなら私は人間にはあんまり興味がなくってっていう。好きな男の人の履いていた靴を思い出してオナニーするのが好きだっていう話をされて、多分昨日のお客様にとっては「それ凄い話じゃない!?」って話だと思うんですけど「あ〜いるだろうね〜」って気持ちにしかならなくなったっていう、凄く残念な感じというか。

—— そういう話にドキドキしなくなるんですよね。

シブヤ それはありますよね。だって、いるよ〜ってなっちゃう。くるぶしが好きっていう人もいるよねっていう(笑)。

—— 逆にお客さんでそういう変態さんはいないんでしょ?

 

 

シブヤ 変態はいるけど、変質者はいない。この違いですよね。皆さんちゃんとわきまえてるかたばかりなので。ただ変質者っていう感じの人は前はちょこちょこ来ちゃってたんですよ。

—— 誰が連れてくるんですか?

シブヤ それがね、今でこそ紹介制で会員制ってキツく言ってますけど、当時まだそんなに強くルール決めてなかったんですよね。それで自分が好きなAV監督さんが来てるっていう情報を拾った人から、行ってもいいですかって連絡が来て、どうぞーなんて言ってたら、とんでもないヤツだったっていうのは凄くいっぱいありましたね。浮かぶのママはAV監督と仲がいい、AVが好きらしいってだけで、この女は頑張ればヤラせてくれるとか思い込まれて、本当にそういうの凄くありましたよ。自分の変態プレイとか変質プレイにきっと応えてくれるとか、勝手に期待されてくる人がたくさん来て。それで厳しく紹介制ですって言いはじめたんです。《浮かぶ》ときは《元々浮かんでる》人と一緒に来ないとダメですよ、名前を出すだけでは《浮かべません》って言うようにしたら非常に治安も良くなりました(笑)。

—— 場所柄またちょっとね、そういうコアな人が来そうな場所ではあるし。

 

 

シブヤ そうなんですよね。探し出して着いたっていうのもあると思うんですけど…。

—— シブメグさん的にはどうですか、性に対する考え方っていうのは結構変わりました?

シブヤ それはあまり変わらないですね。私、凄い変なスペックがあってなんとも思ってない人に口説かれたりとか、しつこくされたりとか、友達同士と思ってのハグっていうのは全然平気なんですけど、このハグそうじゃないよねって分かっちゃうハグとか無理やりキスされそうになると本当に簡単なぐらいゲロ吐くんですよ。凄いことになるっていうくらいの。で、本当に言い寄られてネチネチ見つめられてるなって気がついた瞬間に、ブワーってじんましんが出るとか。なのでゆきずりのセックスは一回もしたことないです(笑)。

—— 何でセックスをするのかっていうのは人によって違うなっていつも思うんですね。裸の男と女がイチャイチャして挿入したのをセックスっていうんじゃなくて、これもセックスだろうなっていうことがいっぱいあって。そっちで満たされちゃってる人っていわゆる定番のセックスを拒むっていう傾向があると思うんです。

 

 

シブヤ へーそうなんだ!

—— だからライブやってるアーティストって性欲が薄い感じがする。

シブヤ なるほどね、分かるかもしれないですね。

 

後半へ続く《《《

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