2018-03-04

日本の風俗と性癖を考える ”起”


 

安田さんとお会いするのはこの日で2度目とは言え、
1度目はAVメーカーの忘年会で挨拶程度だったのが、なにか強烈な印象をもったのを記憶している。
その後、共通の知人から事あるたびに安田さんのお名前を耳にすることが増え、
一度じっくりと話してみたいと思っていた人でした。
今回はテーマを脱線しがちな対談となりましたが、こういう価値観の人も私は大歓迎なのです。
最終回では安田さんご本人の恋愛観をえぐっていくのですが(笑)、まずは人見知りの遥とのぎこちなさを払拭できない場面から。

 


 

—— 安田さんの『痴女の誕生 アダルトメディアは女性をどう描いてきたのか』(太田出版)を読ませて頂いたんですが、編集が穂原(俊二)さんなんですね、天才編集者と呼ばれてる人じゃないですか。「いいなぁ」って思って。

安田 結構良くしていただいてて、ありがたいです。

—— 太田出版ってわけじゃないと思うんですけど、凄く読みやすい空間を作るなって安田さんの文章を読んでて思いました。

安田 読みやすく書くっていうのは常に意識してますね。

—— 流れが良いというか、止まらないように作っていくというか。

安田 文学的なものが苦手なんですよ。文学っぽい言い回しとかが嫌いなので出来るだけそういう表現は省いて簡潔にっていうのは意識してます。

—— いわゆる語彙力バリバリっていうのは。

安田 うん、意識して陳腐な言葉を使うようにしてます。”陳腐”ってことは皆が分かるって事なので。

—— 私も何かを教える時は小学生でも分かるようにって考えてます。

安田 そうそう、僕が一番最初にこういう仕事を始めたのがアイドル雑誌だったんですよ、中高生向けの。その時にやっぱりそういうのは言われましたね、誰にでも分かるように書けって。

—— 装飾バリバリの文章は苦手なんですね。

安田 ついかっこいい文章を書いちゃって、後で「いかんいかん」って消してっていうのは結構ありますね。自分に酔った文章は書かないようにしてる(笑)。

—— この書籍に限ってかもしれないですけど主観を入れてないじゃないですか。

安田 そうですね、この辺の研究系は特に。ライトなエッセイっぽい原稿だと、もちろん入れますけど、基本的には自分の主観をあまり入れたくないんですよね。

 

—— 凄く膨大な資料の中で書いたんだろうなっていうのは想像出来ますよね。一年以上遅れて出版されたって事でさぞご苦労されたんだろうなと。

安田 本当ですよ、泣きながら書いたんですよ。でも『痴女の誕生』方はまだ、今まで書いてきた事の蓄積で書いてたんですけど『巨乳の誕生 大きなおっぱいはどう呼ばれてきたのか』(太田出版)は僕、あんまり巨乳が好きじゃないんで(笑)。

—— そこは多分あんまり知られてないと思います、巨乳好きだと思われてると。

安田 あとがきにも書いたんですけどね、それ読んでみんなビックリするという。だからそれまで巨乳についての資料を持ってなかったんです。

—— それは巨乳を書いてって言われて書いたんですか?

安田 編集者に言われたわけじゃないんですけど、『痴女』の方で5つのテーマを書いちゃったので、あれでやってない事で一冊書けるテーマで……って考えたら、巨乳かなぁと思ったんです。前に特集で巨乳の歴史について書いた事があって、その時に「昔はそんな人気無かったんだよね」っていう事を思い出して、そこを掘り下げたら面白いかなと。わりと客観的な理由ですね。

—— 巨乳は流行る時って日本経済があんまり良くない時なんですよね?

安田 でもそれは都市伝説みたいなもので、調べたんだけどあんまり関係なかった(笑)。しかも、逆のこと言う人もいるんですよ。

—— 景気が良い方が巨乳が流行るって?

安田 そうそう、いい加減ですよ(笑)。

—— SMはよくそれ言いますよね。

安田 それも聞くんですけど、みんななんとなくの感じで言ってるのでちゃんと調べるとそうでもないなみたいなのが結構多いですね。

—— ニッパチ(2月8月)が景気悪いって言ってるのと同じですね(笑)。

安田 あと感覚のズレっていうのがあって、例えばバブルの象徴みたいにジュリアナを使うんですけど、あれってバブルが崩壊した後なんですよね。

—— そうだ、そうですよね。マハラジャがバブル期ですよね。

安田 だから僕はああいう歴史を調べる時って当時の雑誌をチェックするんですよ。古本買ったり国会図書館に行って、まとめて読むんです。雑誌ってリアルタイムだから、当時の空気感もわかる。本だと、後でまとめて書いてるんで、ニュアンスが変わってる事が多いんですよね。

—— 当時の週刊誌とか月刊誌の方がリアルタイムなんですね。

安田 意外に「あの時こんな言葉使ってなかったじゃん」って事も多いんですよね。

—— 余計に資料が凄い事になりそう(笑)。

安田 凄いですよ。

—— 神保町に入り浸りって感じ(笑)。

安田 神保町は高いからあんまり好きじゃない(笑)。あまり知られてないような古本屋をコツコツと回ったりして。

 

 

—— ”起承転結の起”は『痴女の誕生』にまつわる話を色々とお話したいんですけど、実は私もちょうど本を読んでるうちに「あ、ここらへん分かる」って思ったのは、1993〜1994年頃にレンタルビデオ屋さんで店長やってたんですよ。その当時は北海道にいたんですけど、その店は一般作よりもAV作品の方が手広かったんです、そこでよくAV女優さんが遊びに来てて、キャンペーンとかイベントがあった時にちょっとだけ寄るようなゲリラ的な感じで。ちょうど飯島愛ちゃんがそろそろ辞めるかなっていうぐらいの時。

安田 売れてる時ですよね。

—— どこに行っても飯島愛ちゃんのポスターがある時代で、その当時の話とかを聞いてるとちょうど単体よりも企画モノが出はじめて。

安田 単体よりも企画モノが売れてた時期ですよね。

—— 桜樹ルイ伝説が終わって飯島愛ちゃんや朝岡実嶺さんが上がってきて。

安田 飯島愛とかテレビに出てる人じゃないと売れないって時期なんですよね、『ギルガメッシュNight』に出てる子じゃないと売れないっていう。

—— 飯島愛が司会をしたのは引退してからでしたっけ?

安田 引退してからなのかな、ギルガメッシュの中ではAV女優っていってないんですよね、確か。Tバックの人として出てた。というか、最初は「テレビでおなじみのあの子がAVデビュー」みたいな売出し方だったんですよ。

—— そう考えると、あの頃と今って随分違うなって。

安田 そうですね。90年代後半になると今度はセルビデオが出てきて変わるし、2000年代の半ばぐらいで恵比寿マスカッツが出てきて変わるんですよね。そこから女の子が憧れる職業になってくるっていうね。

—— 面白いなと思ってて。当時って女優さんはもっと病的だったんですよね。

安田 そうですね、やっぱりなりたくてなる職業ではないっていう。

—— サイン会をするにしても女優さんの横にいかにもそれらしいコワモテが隣にいるみたいな、サインをもらう男の子達の手が震えてるっていうのはよく見てた光景なんですけど(笑)。あの当時ってお金の為とか別の目的でAV女優になる子が多かったと思うんですけど、今の子って全然違うじゃないですか、それはどこから切り替わったんでしょう?

安田 僕が見てる感じだとやっぱりマスカッツ。2008年とかかな、その頃から「○○ちゃんに憧れてこの世界に入りました」みたいな子が増えてきたんですよね。

—— それは女の子がAVを観るようになったからですか?

安田 テレビを観て、『おねがい!マスカッツ』に出てる子が可愛いみたいな感じになって。

—— ある種アイドルと同じくくり?

安田 そうです。でその頃からAV女優のアイドル扱いが進んで、サイン会に女の子が来るみたいなことも増えてきたんです。で、そこからがツイッターなんですよ。女優さんがツイッターとかでファンと交流する事が増えていって、それぐらいからみんな「ファンの為に頑張ってます」って言い出すようになったんです。

—— ほお〜…。

安田 ファンの為に頑張るんですよ、今のAV女優さんは。だから本当アイドルと一緒なんですけど、その辺でモチベーションが変わってくるんですよね。

 

 

—— いわゆる「ワケあり」な女の子はほぼいないんですか?

安田 全然いないって事は、もちろん無いんですけど(笑)。

—— 当時は彼氏に貢いでたりとかホストに貢いでたりとかおクスリの為にやってたりとかそういう子達が多かったじゃないですか、実際(笑)。ある種あの時代って狂ってたのかもしれないって思うんですけど、私当時AVの仕入とかもやってたんですけど「これだけのものを買ってくれたらこれだけの事をします」っていう条件の方が大きかったんです。

安田 レンタルですよね。レンタル時代って中身は重視されてなかったんです。営業力ですべて決まったていうのがあって、だから実は企画ものメーカー、当時のV&Rプランニングなんかが変なものを作れたのはそういう所もあったんですよね。要するにパッケージさえよければ、中身はわりとどうでもいいと(笑)。だから好きな事ができちゃったみたいなのはあったんですよね。

—— 今もう時効だと思うんですけど、これだけウチのを取ってくれたら飯島愛の裏ビデオ付けますとかメーカーがそういう事をやってたんで、今みたいに流出じゃないんですよね。

安田 営業ですよね。

—— そうそう、営業の為に使ってたっていうのは驚きますよね(笑)。

安田 営業が全てなので、どこかのメーカーの営業の人は「おれたちは別に中身がバーコードだけでも売ってくるから」って言ったりしたそうですよ。

—— 当時なんて収録時間30分も無いような作品じゃないですか。

安田 その頃だともう60分かな。

—— まだ30分ありました。

安田 45分は一時期あったかな、30分は黎明期の頃じゃないかな。

—— あ、そっか。でもあっという間に終わるとかドラマなんてあってないようなものみたいな。

安田 でも最初の頃ってむしろカラミが何分以上続いちゃいけないっていうのがあったんですよ。ビデ倫の規制で。だから意味もなく途中でイメージシーンを挟んだり、ドラマを入れなきゃいけなかったんです。必然性のないセックスはしちゃいけないみたいなのがあったんですよ。だから無理やりドラマ作ったりして。

—— 確かに設定だけはあるみたいな。

安田 そう、ドラマが長いみたいなね。AVも初期はビンク映画の流れなんですよね。

—— そこら辺のAVの流れと女の子の心理状況の流れは時代なんだなぁって凄い思いますね。

安田 そういうのが好きなんですよね。色々なものが、時代によって変わっていくっていうのが凄く好きで、そういうのを調べるのがわりと仕事としては楽しいですね。

 

 

—— 私も風俗18年やりましたけど、分かります。面白いなって思ってます。多分歴史と一緒に昔からやってきたんだろうなって。

安田 そうですね、いろんなブームが起きて、色んな摘発があってまた変わってみたいなね。

—— 何かに飛び抜けた人が一人出て、ドーンっと出て、またドーンと落ちて…っていう。

安田 そうそう、そういうのを繰り返してるけど、ここ数年あんまりブームって起きてないんですよね。細分化が進んじゃったせいか、ライトユーザーがいなくなってきた。ブームが来ると、そんなに好きじゃなくてもそこに集まる、みたいな人が少なくなったんでしょうね。

 

 

—— AVに求めるものが変わってきてるんですか?

安田 あと今の若い子は基本的にAVはネットでタダで観るものってなっちゃってるから。

 

—— それを後ろめたくも思わず堂々と言うのが凄いなって思ってて。

安田 面白いなっていうか、面白くないんだけど、例えば漫画家さんとか音楽やってる人が違法ダウンロードを非難したりしてるのに、自分はXVIDEOSとかでAV観てたりするんですよね(笑)。

—— ははは(笑)。漫画家さんが(笑)。

安田 そういうことって結構あるんですよ、自分に関係していないと、あんまりピンときてないっていうか。だから別にプロじゃない人っていうのはそんな感じなんだろうなっていう。YouTubeは今はわりと権利関係をちゃんとやってたりするんだけど、元々は無法地帯だったし。YouTubeみたいなのが普通に使われてるんだから同じじゃない? って思って当然かもしれない。あと有料で正規に観ようとするとクレジットカードが必要だったりして、若い子が観ようと思っても観られないじゃないですか。クレジットカードを持ってても色々手続きしないといけないのが面倒くさいけど違法ならすぐ観れるじゃないですか。違法の方が楽。だからやっぱそっちの方が観ちゃうよねーっていうのは、わかるんですよ。

—— それをまた本人に堂々と言うっていうのがビックリです。

安田 あんまり悪いと思ってないからなんでしょうね。

—— 女優さんに「どこそこで無料で観ました」っていうツイートをよく見かけるんですけど、この前ついに私が監修してる「MotheRs(※リンク先R18)の「オスガズム(※リンク先R18)のオーディションにも来ましたね…。「無料で観ました!」って堂々と言ってる人(笑)。

安田 多いんじゃないですか? 今。やっぱりミュージシャンとか音楽のファンでもそういう人いるみたいだし。難しいのが作家に「図書館で読みました。」っていうのはどうなのか問題っていうのがありまして。

 

 

—— 私も本はなるべく中古で買わないようにしてます。

安田 僕は古本屋が好きなんで、つい中古でも買っちゃうんですけどね(笑)。でも僕は自分の本が古本屋にあると嬉しいタイプなんで(笑)。自分の本は、あんまり気にしないですね。古本でも、どんどん買って読んで欲しい。

—— 時代が変わってきてるんだろうなって思うんですけど、女の子達のセックスの意識もずいぶん変わってきたからAVも変わってきてるんだろうなって思うんです。

安田 それは当然あると思う。

—— とあるメーカーさんから「どっかに目が覚めるようなブスはいないか」って前に言われた事があって「可愛い子がいすぎてみんな目がおかしくなってきちゃってるから一回ドブス入れないと分かんないんだ」って言ってました。

安田 バクシーシ山下監督って、最近は熟女ものばっかり撮ってるんですけど、前に一回「取材おいでよ」って声かけられて、熟女バスツアーの撮影に行ったら、ものすんごい怪獣みたいな熟女ばっかりでちょっとビックリしたの(笑)。最近の熟女ってみんな綺麗な人ばかりなのに「え、こんなの!?」って人ばかりで。男優さんもみんな途方に暮れて暗い顔してた(笑)。でも、それが売れたらしいんですよ。もう美人ばっかりなので、そういうのにもニーズがあると。

—— 多様化してきましたね(笑)。

安田 多様化しすぎて、よく分からなくなってきました。

—— 今「トリプルレッドカード(※リンク先R18)とか風俗店でも一つのキャラとしてっていうのがありますけど。

安田 「デッドボール(※リンク先R18)以降そういうのがね。

—— 確立してくるのかな、このキャラクターはって思いましたけど。

安田 何か話題にならないと埋もれちゃうから、とにかく目立てばなんとかなるんじゃないかっていうのはありますよね。

 

 

 

—— 安田さんは女優さんにもインタビューする機会が多いと思うんですけど、昔と今の女の子のセックスに対する意識ってどう変わったと思います?

安田 えーとね、プライベートなセックスは実はそんなに変わってない気がします。昔より今の方がわりとおとなしいかもしれない、派手じゃない。プライベートで遊びまくってるっていう人は昔より減ったんじゃないかな。10年〜20年前のほうが凄かった気がします。

—— 仕事以外は家から出ないって女優さんも多いですよね。

安田 あんまり経験が無い人が多いですよね。

—— イッた事ないとか。

安田 そうそう、セックスしてもあんまり気持ちよくないとか、イッたことがないんだけどAV観ると女の子の反応がもの凄いから、こんな風に感じてみたいと思ったという話はよく聞きますね。それで実際にやってみたら「あ、AVは派手にしてるんだな」ってわかるらしいんですけど(笑)。

—— 安田さんはどの時代から書いてらっしゃるんですか?

安田 書き始めたのは30年ぐらい前かな、19歳の頃からやってるんで。最初はインタビューはあんまりやらせてもらえなくて、レビューばっかりでしたね。でも、そのうちに制作してる人たちと仲良くなって、よく現場に出入りするようになりました。男優やったり監督やったりもしてましたよ。今の人の方が圧倒的にプロ意識が強いですね。昔の女優はいい加減だったから、絶対遅刻してきたけど、今の子は遅刻しないですもんね。ワガママも言わないし。ワガママ言ったら仕事が来ないって分かってるから…。

—— 言いたいことは言わない。

安田 カメラが回ってる間は演技するじゃないですか、で止まってからも演技が続いてるんですよね。スタッフ向けのいい顔っていうのがあって、本当の顔がもう一段あるんですけど僕らとしては、そこで騙されちゃうんですよね。素も良い子なんだよ! と。でも実はその下に本当の素顔があったりとかして、全然それはまた違ったりするんですけどね。だから今ドキュメントものが凄く難しいなって思うんですよ、ドキュメントっぽい素を演じてくれちゃうんで監督も騙されちゃうんですよね。ちゃんと適度に崩れたところを作って見せてくれるなんてことを女の子がやってくれるんで「いいところが撮れた!」って思っちゃうんだけど、それも実は演技みたいなね。引退した某大物女優さんが「ドキュメント物は嫌いだった。カメラの前で素を見せるわけないじゃない」って言ってました。ああ、僕らもずっと騙されてたんだなって思いましたね(笑)。

—— それでいいんですかね、今の時代に合ってるんですかね?

安田 分からないですけど、ニーズはそっちにきてるんですよね。要するに「素人ナンパ」って言っても美人ばかりじゃないと許されないみたいな。実際はそんなわけないじゃん、どう考えても。昔は当たり外れがあって面白い、だったんですけど今はハズレって許されないですよね。

—— そのようですね。

 

 

安田 風俗でもハズレが許されなくなってますよね。みんなネットの評価サイトみたいなので調べてから、ハズレないようにして遊びに行きますよね。だからそういう状況の中だと、良い子ばっかりじゃないと生き残れないのは当然ですよね。

—— これも一つの時代と捉えるべきですかね?

安田 吉野家にも、接客態度を求める客みたいなのがいるじゃないですか、あれに近いというかお客様の求めるものが高くなりすぎてますよね。

 

—— あとは”人前で脱ぐ”ということと”人前でセックスをする”っていう事に対しての抵抗というか羞恥心が無いなって思っていて、昔は泣き出しちゃう子もよく見たし、それいないなぁって思って。割り切ってるのかなって思うんですけど。

安田 わりと今は自分から応募で来るっていう子が多いから、そこが違うのかもしれない…。あと素人がプライベートで撮っちゃってるじゃないですか。もう裸を撮るって事自体に抵抗が無くなってきてるのかなっていうのはちょっと思いますね。

—— 初美沙希ちゃんがそういう子だったんですってね。

安田 そうそうそう。

—— 「えーー!」って思って、全然見えない…。

安田 だいぶ顔が違うっていう感じなんだけど(笑)。だから俺、その子の写真いっぱい持ってたけど「えっ、これだったのか!」って、ずっと気づかなかった。

—— 自分で自分を撮って投稿してたんですよね。

安田 そうそう、高校生ぐらいの時にね。その界隈では有名な子だったんですよね。その後、別の名前でAVデビューしてたんですよ。そういう子、増えましたよね。

—— 真咲監督もそうだったって聞いて、えーって。

安田 プライベートでハメ撮りしてたんだよね。

—— ヤリマンとはまた別ですよね。

安田 別の種類ですよね。

—— 自分のそういうところを見せる事に羞恥心を持たなくなった世代がどこかからあるんですよね。

安田 結局、羞恥心ってなんだろうって話に行くと思うんですよね。じゃあ水着は恥ずかしくないのかとか、アイドルもあんな変な格好して踊るの恥ずかしくないのか、みたいなのあるじゃないですか。水着はいいけど下着はダメとかその辺の境界線って元々曖昧ですよね。

—— グラビアさんは普通に現場で着替えてますもんね。

安田 グラビアアイドルも「オカズになってナンボですよ」とか言うじゃないですか。それってAVとどこがどう違うんだろうみたいな感じもあったりしますしね。

 

 

—— 羞恥心が無いっていう事が物足りないって思う世代と思わない世代にも分かれるのかなって思ったんです。

安田 羞恥心自体は相当前から無かったのかもって思ってるんですけど。

—— どの辺からだと思います?

安田 羞恥心って考えると難しいんですよ。そもそも女の人の羞恥心と男が考える女の羞恥心って違うじゃないですか。アソコみられるよりも、手入れしてない脇の下の方が恥ずかしいとか(笑)。

—— じゃあ女優さんがデビューもので泣かなくなったのはどこからか。

安田 いや、今でも泣くのはありますよ。

—— 今でもある!

安田 だいたい一つ目のカラミが終わった後に泣く子が多いんですよね、緊張がほぐれて泣くみたいなのはあったりして。

—— その泣くじゃなくて(笑)。

安田 たぶん自分でわかってないみたいなんですよね、どういう感情で今、私は泣いてるのかっていうのが。

—— やっぱりやんなきゃよかったーっていう。

安田 そこはあんまり最近は無いかも。本当に泣いてたら、AVではカットしてるからわかんないんですよね(笑)。でも多分2000年代半ばだと思います、女の子の感じが、明らかにお金じゃなくなったなっていうのは。

—— でもたまに3作ぐらいでいなくなっちゃう子とか。

安田 いるけど、あれは契約が切られる事の方が多いんですよ。今メーカー専属っていっても3作ぐらいっていうのが多くて、もうそれ専属って言わないよっていう。僕も取材とかで困るんですけどデビューのインタビューとかするじゃないですか、その頃ってもう3作目を撮り終わったりしてて、デビュー作品が出る時には他の所に移ってたりとか自由契約になってたりするから困るなぁって(笑)。そこでキカタンにならなきゃいけないっていうと「それはイヤだな」って辞めちゃう子もいるんですよね。

—— 専属の方がいいって?

安田 専属ならいいけど企画は嫌っていうのは結構あると思います。

—— キカタンの方がもっと自由な感じがしますけどね、自分で選べるし。

安田 今は、キカタンの方が人気もあって売れてる子も多いんですけど、まだ女優さんの中では専属の方が上という意識はあるみたいですね。企画の売れっ子だと月に何十本とか出けど、専属だと撮影は月に一本で、あとはその他の仕事ですよね。イベントとか取材とか。だから撮影大好きっていう子ならキカタンの方がいいけど、本当はアイドル的な事がしたいっていう子だとやっぱり専属の方が良かったりするんです。

—— なるほど、そこで違いが出てくるんですね。なんとなくキカタンの限りを尽くしたのが上原亜衣ちゃんのイメージなんですけど。

安田 そうですよね、だからああいう風に職人としてやるならキカタンの方がいいけど、もうちょっとアイドル的な感じでって思うと違ってくるのかもしれないですね。

—— 今は明日花キララちゃんに憧れて入ってくる子が多いっていうのは。

安田 明日花キララっていうのは、マスカッツ世代の最後の一人みたいな感じがしますよね。あの後そこまで有名な人っていないんですよね。なかなか一般の人が普通に知ってるAV女優ってなかなか出てこなくなりましたよね。

—— 地上波から消えるのは寂しいような感じがしますね。青少年の心をゾクゾクさせるのが深夜に合ったほうが良いような気がします。

 

 

安田 あと雑誌が無くなったのも大きいですよね。紙の雑誌がなくなったのでグラビアが無いんですよね。

—— 安田さん、1〜2ヶ月前にそんな事呟いてたのがリツイートされてましたよね。「紙の文章が書きたいんだ」っていう。すごい数の「いいね!」が付いたのが回ってきました。

安田 そうそう(笑)。

—— 皆たぶん感じてる事だったんだろうなって思って。

安田 僕、本当は書くのはネットの方が好きなんです。読んでもらいたくて原稿を書いてるわけですから、そうすると今はネットの方がたくさんの人に読んでもらえる。ただ紙の方がギャラがいいんですよ(笑)。

—— 原稿料が(笑)。

安田 まだまだ紙とウェブの原稿料とだいぶ差がありますよね。紙も下がってきてるから、その差は縮まってるんだけど(笑)。ただ、紙の雑誌がどんどん減ってきてるので椅子取りゲームみたいになってきてる。書ける人は少なくなってる。おれたちおじさんが占拠してるから、若いライターは紙に書いたことがないって人が多いですよね。おれは、なんとか椅子に座りたいとしがみついてます(笑)。

—— でもいくつか連載も持ってますよね。

安田 昔よりむしろメジャーな雑誌に書いてる事が多いんですよ。昔はマイナーな雑誌にばかり書いてたけど、マイナー雑誌が無くなっちゃったんで(笑)。

—— これもまた時代なのかなと思いますね。

安田 もう紙は完全におじいちゃん向けなんで、書く時も同世代とかおじいちゃん向けの文章を意識してます。

—— 買ってませんもんね、若い人。

安田 そうなんですよね、だからエロの歴史物やってるのってそこもあるんですよ。年寄りは歴史が好きだから。

 

 

—— 最後に『痴女の誕生』で書ききれなかったなっていうのはあります?

安田 『痴女の誕生』は色んなテーマをちょっとずつ書いてたんで、それぞれ1個ずつ本当はもっと突っ込みたいなっていうのはありますよね。痴女にしろ熟女にしろ。あと、本当はロリータについて書きたいんですよね。80年代頭の時にあったロリータブームって今考えると凄いおかしい時代だったんですよ。ロリコンブームってあったでしょ、その時代はまだヘアがダメだったでしょ、ヘアがダメだから毛が生えてない割れ目はOKっていう…。

—— んふふふ(笑)。

安田 おかしいんだけどそんな時代だったのよ(笑)。

—— そんな理屈(笑)。

安田 だからメジャーな雑誌、スコラとか平凡パンチとかでも少女ヌードをガンガン載せてたんですよね。今は考えられないんだけど。

—— 「毛が無きゃいいんだろ」っていう?

安田 そうそう。

—— 昔はそこの部分だけマジックで塗ってたのありましたよね。

安田 それもあったし、割れ目出てたんですよ。でもちょっとおかしいよねそれって理屈としてっていう。

—— 大陰唇まで写ってましたよね!

安田 そうそう、少女なら割れ目はOKだったんですよ。割れ目もそのうちダメになったんだけど、大丈夫じゃないかって時期があって、昔の雑誌を見ると結構普通に載ってるんですよ、その辺の時代の事を書きたいなっていうのはあるんですけど、今はなかなか難しい…(笑)。

—— ロリータは言葉を選ぶだけでも大変そうですね。

安田 今もう持ってるだけでも捕まっちゃうから難しいですよね。ただ、やっぱりそういう時代があったっていうのは事実としてあるんで、そこはまとめていきたいなっていうのと…。あと風俗史もやりたいんですよね。

—— 私が知ってる20年だけでも随分変わりました。

安田 そうですよね。90年代後半からの平成風俗ブームみたいなのがあって、性感ヘルスとかイメクラとかすごく出来た。あの頃僕は風俗ライターをやってたんですけど、あの頃の盛り上がりってちょっとおかしかったんですよね。今からは考えられないくらい。

—— では次でその辺を聞かせてください。

 


 

今回のゲスト:フリーライター、アダルトメディア研究家 安田理央さん

 

 

1967年埼玉県生まれ。実はネガティブマネージメントが得意な獅子座。
フリーライター、アダルトメディア研究家、漫画原作者、ニューウェーブ歌手など、複数の職業で多忙面で活躍している。
本人は趣味と言い切っているが、京王百貨店の駅弁大会では駅弁の達人として、そのマニアっぷりでメディアでも活躍している。(本人は京王の駅弁大会が好きなのであって、駅弁が好きなのではないと言っている。)
最近の著書は巨乳の誕生、痴女の誕生など(本人は巨乳も痴女も好きではないと言っている。)。
日本の風俗資料として永久保存されそうな膨大な資料をまとめあげた。

安田理央Twitter

安田理央ブログ

安田理央著作一覧

 

 

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