2018-02-11

抒情詩” ゲスママ ” を斜め読み ”承”


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―― 二部は女の体と女の心に対して解剖していきたいと思うんですけど、ゲスママにも出てきましたけどSMですよね、私もやってた時期があったんですけど、あれってどちらかと言うと今まで自分の中で鬱蒼としていたものを初めて解放することが出来るっていう、やっと息ができたってこの世界に入ってくる人がいると思うんですけど、やっと息ができたって言ってたのに逆にSMを知ったことで病んでいく女の子がたくさんいるじゃないですか。本当は凄く分かりやすい自己解放と自己表現のツールなのになぜか病んでいくのかっていつも疑問に思っていて、自己解放しすぎなのかなって思ってて。

神田 あはは。

―― 元から本当は病んでいてそういう自分を否定して生きてきたからそれを解放しちゃったら実は病んでましたになったのか、そこがいつも不思議で。例えば自傷行為なんかでもどこまでが自傷行為でどこからがSMなのか境目が分からなかったり、相手ありきだったら良いのかそうじゃないのかとか、SMに携わってプライベートも含めて20年になるんですけどところどころに疑問を投げかけられるような節があって、結局私も止めてしまったんですけど、一番最初に衝撃だったのは切腹マニアの子だったんですよ。

神田 カッコいい…! 素敵。

―― 簡単にいうとご主人様と言われるパートナーがいて、その人には止められてたんですよ「切腹は自分でやっちゃダメ」って言われてたのに。

神田 本当に刃物でやっちゃう?

―― うんうん。彼女は切腹に対して凄く調べていたから、どうやったらどうなるかっていうのは分かっていたはずなのに、私も今思うとどこか病んでたからだろうなって思うんですけど、親と一緒に暮らしてたんですよ、ある日あと2時間後にパートナーと会う約束してるからちょっと寝るねって部屋に入ったんですって。両親もそのパートナーの事はよく知っていて「分かったよ」って言ってたんですけど、その待ち合わせの時間になっても部屋から出てこないからおかしいと思って、部屋をノックしても全然返事がなくて開けたら亡くなってたんですよ。自分で切腹して自分で腸を出して果ててたんです。

神田 失血だから凄いでしょう? うわぁ…。

 

 

―― だからどこまでがSMでどこからが自傷なのかっていうのはいつも私の中では問いかける事で、死ぬ気もないのにリスカする子っていっぱいいるじゃないですか、あれも全く意味が分からなくて。

神田 あれは前に、「死にたくてやってるんじゃなくて生きてる自分を強く確認したいからだ」と聞いて、「あ~!」って。じゃあ私がSMするのと近いのかなって思いましたね。

―― 生きていると確認したい…。

神田 私、やっぱり死にたかったんですよ、結婚がおかしくなりはじめてから。自分がいない方が何もかもうまくいくって思いしか無かった時でも、自殺するっていう勇気はなかったんですよね。そこで誰かを加害者にするってほどの悪意は無いんだけど、その深刻さを一緒に担ってくれる人はいないかなって思った時にSMにいったんですよね。その彼女の話を聞いて思い出しました。

―― SMのパートナーに対しては共犯者を探しに行ったっていう感じですか?

神田 そうですね、でもそれってよくよく考えてみると…、SNSで怒られそうだけど(笑)。宗教的に神様を求める気持ちに近いのかもしれない、自分の命をどうこうするっていう権利を誰かに預けてしまいたいっていう。

―― 凄くよく分かります。

神田 そういう感じなんじゃないかな。

―― 選択を放棄したいんですよね、自分にまつわる選択を。

神田 そう、日々選択しなきゃいけないのを放棄したい。

―― 全部を委ねたいんですよね。

神田 そういう女性はいっぱいいるんじゃないですかね、いると思うなぁ。うちの子どもなんかも、10代、20代のころは私とうまくいかなくて、「死にたい」とか「なんで産んだんだ」とか言ってました。それに対して「私はあなたを凄く大切に思って妊娠して大事に産んだのよ」って言えない自分に二重に傷ついた。今そういうお母さんは増えてると思うんですよ、子どもが好きでもなく、特段の決意もなく、自分の体が女であるためにセックスした結果、子どもが産まれちゃいましたっていう人もいると思うんですけど、それでも親として生きていかなきゃいけないんで、大変さがありますよね。

 

 

―― でも私の周りで親になっていってる人を見てると、第三者的に見てるからそう思うんですけど親にさせてもらってるよねって感じがするんですよ、だからむしろ成長していってるのは子どもじゃなくてあなただよね? って。

神田 そう、よくお分かりで!

―― 外から見てるとよく分かります。

神田 本当にそうですね。こないだ新卒で働いてた時の友達に会いに行ったら、夫婦仲が悪くてアル中になりかけてたんですよ。でも旦那さんに対して感謝はしてるって言ってて、「こんな私を母親にしてくれてありがとう」って言うんですよ。立派な人だなぁって思いましたね。親になるんじゃないですよね。

―― 親にさせてもらうんだなって思いました。成長してるのは子どもじゃなくてあなただわって。

神田 本当にそうかもしれない。つかまり立ちしてヨロヨロって感じですね。

 

 

―― 病んでるっていう事に関して果たして結果として良かったのか悪かったのかっていうのはよく考えてて、SMを知らなかったらその人はずっと自分を騙して生きていけたんじゃないかって思ったりもしたんですね「自分は病んでない」って、それが果たして自分にとって良かったのかどうかっていうのは凄く難しいと思ったんです。

神田 SM以外の何かにいったかもしれないし。

―― ただ、さっき言ってたけど、自分が生きてるって事を確認する行為って言ってたじゃないですか。だけどそれはある種自分の血液を見ると安心するのか、自分の体が痛みとか苦しみを感じた時に実感するのか。

神田 両方いましたね。メーカーやってた時に、女性がやりたいと思っていることを撮ろうと思って、アイディアを募集したんですよ。ある若い女性が詩を送ってきたんですが、「自分は消えてしまいたい、そのための手段として見えることを失い、動けることを失い、できたら口も性器も耳も全部縫い綴じてしまいたい」という意味の言葉が書いてあった。戦慄したし、共感も感じました。

―― 私はそっちの方がよく分かるんですよ。自殺するっていう行為って凄くエネルギーが必要だと思ってて、自殺するってまず元気があるんだなって思うんですよ。

神田 そうかも。凄い体力いる。

 

 

―― あれって凄いエネルギーだと思うんですよね。でも極限まで落ちてしまった時ってそんなエネルギーはもう無いんですよね、その時何を思うのかっていったら「消えてしまいたい」しか無いんですよ。

神田 ですよね。黙って海に浮かんでて目を閉じててそのままどんどん遠のいていったらいいなって感じですよね。

―― 自殺したいとか死にたいっていう人ってまだ体力残ってるじゃんって話をよくするんです。

神田 本当にそう。

―― 常に死と隣り合わせだから甘美なのか、淫靡なのか。そこに酔っぱらえるのって女性特有なんですよね。

神田 男は違うかもね、女だけかもね。やっぱり女って生命を出す器官を持ってるおかげで、男よりも少し死に近いところに手がとどくのかなって思うことはありますね。

―― フランス語でエクスタシーを”タナトス“、「小さな死」って言いますけど、本当にいちいち死んでるのかもしれない。

神田 一回一回、その後蘇ってね。

 

 

―― エクスタシーの話に戻りますけど、男性は凄くシンプルな構造で自分を気持ちよくしてくれる人に簡単に体を開くって言ったじゃないですか、ところが女性って逆だと私は思ってて。女性って全ての優先順位が感情が第一位なんですよね、だから相手に対してなんの感情も湧いていないと、どれだけ気持ちいい事をされてもまったく開かないっていうのが面倒くさい生き物だって思ってて、ただその感情は愛じゃなくてもいいんですよね、愛じゃなくても感情があれば女の体は開くっていう不思議さ。

神田 不思議ですよね、愛より強い何かがあればいいんですよね。

―― 前にkoolong監督と話した時に「女の最高潮のエクスタシーとはどんな場面だと思う?」って訊かれた時があって、私は殺意のある男にイカされた時だと思うって話をしたんですよ。

神田 それ読んでゾワッとしました。あれ読んだ時、わざわざそれを設定してやってみたいなって思っちゃった。

―― 殺したいほどの感情をおこしてくれる人って凄い貴重だと思うんですよね。

神田 なかなかいないですよね。

―― 色々想像しませんか? 自分が殺意を感じる相手ってどんな人かなって。

神田 読んだ時にそれ思いました。

―― つばきさんはどうですか?

 

 

神田 『城の中のイギリス人(著:アンドレ・ピエール・ド マンディアルグ )』っていう小説が好きなんですけど、淫蕩の限りを尽くすイギリス人伯爵の話でね。赤ちゃんを抱っこしてる綺麗な若い奥さんを誘拐して、ブランコに縛り付けて、その赤ちゃんだけ取り上げて縦真っ二つにナイフで裂くシーンがあって。それを見て狂乱してる人妻を犯すっていうのが最後のセックスで、その後彼は自殺する。それを唐突に思い出しました。一番殺意を抱くって肉親を傷つけられるとかそういう事じゃないのかなって思うな。

―― そこは男性も一緒なんですかね? 例えば娘と母親って途中から友達になるじゃないですか、だけど父と娘って途中から異性になるじゃないですか。だから多分そういう風になっちゃうかなって思ったり、母と娘、母と息子、関係性が途中から変化していく中で母が娘を取り上げられるわけじゃないですか、そこに殺意を感じますかね?

神田 私は多分、そこは男の子でも女の子でもそれは感じると思う。

―― そこは共通なんじゃないかと思ったんですよね。

神田 そっか、女性特有じゃないね、やっぱり。

―― 父でも娘を取り上げられたら殺意を感じると思うんですけど。伯爵は敢えてそれをやったわけですよね。

神田 見ず知らずの女を誘拐してその人が抱いていた赤ちゃんを目の前で裂くっていう。

―― その女に対しての愛情は?

神田 全く無いの、ヒドいの。でもそこで女が狂乱するほどエクスタシーするっていう描写があって、当時の夫はSMやセックスをあまり共有してくれなかったんですけど、彼は本好きだからこれを読んだ。「嫌いなんだろうな、こういうの」って思ってたら、赤ん坊を切り裂いてセックスするシーンは秀逸だねって言ったので、「分かるんだー」ってビックリしちゃって。

―― 何かとシンクロしたんですかね?

神田 ね、恐ろしいですよね。

―― 自分の猟奇的な部分があるんですかね。

神田 SMやセックスより深層の…何かのことを言いたかったんじゃないかな。

―― それは何を求めたかったんでしょうね。

神田 それは聞けなかったんですよね。

―― 狂乱する女とヤリたかったのか、子供を裂いてみたかったのか。

神田 あるいはそういう女性というものに対してある種の嫌悪感があるのかもしれないです。私より彼のほうが女の本質が分かっていたのかも、もしかしたら。その上で私のSMやセックスが嫌だったのかもしれないですね、だとすると彼が潔癖だったのにも物凄く納得できます。

―― 何かに失望してたのかもしれない。

神田 かもしれないですね、それも聞けなかったけど。

 

 

―― ゲスママの中で、学生時代のコンプレックスが後々の性癖になるっていうところがあって「自分なんか…」っていうコンプレックスがあったって私も「凄いよく分かる!」って思ったのが「自分のアヘ顔が嫌い」ってところで。

神田 オナニーの時に鏡見て「眠たい猿の顔だ」と思ったところでしょう?

―― そう! 私もそれやってビックリしたのを覚えてます。

神田 女の人、皆あそこに共感してくれる(笑)。

―― 皆見てるんですね! 凄い醜いって思ってて。

神田 そのこと、私友達にも言ったことなくて。

―― でもあれは分かりました、ビックリマークを3つぐらい付けたいぐらいでした。

神田 皆もそうだったのか~って感じです。

―― 変に研究しだすんですよね。

神田 しますよね! AVとか見ちゃって。

―― そう! 美しいイキ顔みたいな、感じ顔というか、顎を少し上げるとか口を半開きにするとか。

神田 そう、自分で自分に演出付けちゃって、ウソでもいいからもうちょっと顎上げて…って。

―― どうしてもそこに近づきたいって思いがあるんですよね。

神田 あります、皆そう思ってるんですね。その瞬間は彼氏にだけ見せる顔だから美しくありたい。それなのに美しくないと知った時の失望…(笑)。

―― 決して美しくは無いんですよ、今でも言いますけど(笑)。美しくはない自分でも良いって認めたからだと思うんですけど、前にお客様で面白い事を言った人がいたんですけど、イケメンでそんな風俗に来なくても女には困ってないような雰囲気の子が来てて「インポテンツ、EDだ」って言ってて「えー! どうして?」って訊いたら「女のイキ顔が怖い」でEDになっちゃったんですよ。どんなに可愛くて綺麗な子でもセックスした時にだんだん顔が歪んできて、それがとっても怖い顔になると。その後いよいよイクっていう時の表情が本当に鳥肌が立つくらい怖いんですって、それが。

神田 本気で女がイク時って、口も歪んで歯も剥き出してるじゃないですか、それが怖いんですね。

―― 凄く怖いって言ってて、それを聞いた時に「あ、この子は凄くセックスが上手なんだな」って思ったんですよ。

神田 イカせてるんですね!

―― そうそう、上手なだけにとっても気の毒だなって思っちゃって(笑)。

神田 それはかわいそう。

―― だから女の人が感じてくると怖くてEDになっちゃったんですって。

神田 わかるわ~、だからイッてる気持ち悪い顔を見られないように、猿ぐつわしたり全頭マスク被せてて欲しかったから、SMが良かったの。

―― 私もSMに入ったのは、そういうアヘ顔を見せなくて済むっていうのがあります。

神田 そうなの?

―― 苦痛に歪んでる顔のほうが。

神田 確かにそうだよね! 痛いから苦痛に歪んでても問題ないですっていう、それ凄い分かる。

―― まだマシって思った。

神田 分かる。それは男の方が痛がらせようと思ってやってるんだから、自分のせいじゃないですもんね。

―― そうなんですよ! …そこから既にだいぶ病んでるんですけどね(笑)。

神田 お互い闇が深かったんですね。でもこうやって話してると病んでる方が普通なんじゃないかとも思うわ。社会の文明度が高くなりすぎちゃってるんですから。

 

 

―― やっぱりそういう結論なんですかね、本当は皆病んでいてそれを自分の中で隠してるというか否定して生きてるだけで、そこを剥き出しにしたら皆病んでたっていう結果なんですかね。

神田 そう思います。戦前までは違ったんじゃないかなって。ここまで捻じれていなかったんじゃないかと。太宰治は戦争ではなく戦後によって傷ついて、捻じれた。

―― そこって植え付けられた概念によって苦しんでいくんですかね。

神田 どんどん綺麗事になっていってますからね、性って。セックスはしなくなっていくんじゃないかって二村(ヒトシ)さんはおっしゃってますけど、私もちょっとそう思ってて。

―― 一番最初に風俗がAI化するって言ってました。

神田 そうかもね、本当に。私はずっと「性は汚らわしい」っていう人たちに対抗するのに、「この中にセックス以外の手段で産まれてきた人なんていないじゃないですか、神聖です!」って言ってきたのに、今1クラスに1~2人は体外受精によるお子さんがいるそうで、それは言えなくなってきています。

―― え、そんなに!?

神田 2015年には赤ちゃんの約20人に1人が体外受精による出生だと日本産科婦人科学会が発表しているんです。もう言えないですよね。言ったら傷つく人もいるから言えないなって。

―― 確かに今、タイミング法とか妊活でEDになってる男性が凄く多いって言ってました。

神田 なるよね~、タイミング法とか言われちゃってかわいそう。

―― 精液をその場で提出しなきゃいけなかったりとかそういうのでEDになってる人が多いらしくて、近々外来が出来るみたいですよ。

神田 そっちの映画を作ったら売れるかもね、AVでも映画でもいいんですけど、まじめに採りあげてほしいな。男もつらい傷つくということを…。

 

 

―― 体はシンプルに出来ているのに心は女性よりも繊細なんですよね。

神田 ロマンチストですもんね。

―― そこが凄く男性だなっていつも思うんですけど。「こんな事で!?」ってところで傷つきませんか?

神田 本当、体開いた後で心が開いてきた時に「え…」って思っちゃう。

―― こんな所で傷ついちゃったりするんだっていうのは体の構造として面白いなって思うんですけど、面倒くさいですよね(笑)。

神田 だからこれから風俗のAI化で結婚も体外受精中心ってなっていくと、リアルセックスをした贅沢な人たちは貴族ですよ。セックス貴族。

―― セックスに対する概念がどんどん変わってきてて、うちに前に20代前半の女の子が働いてたんですけど、男性をイカせる事が出来なくて苦労してたんですよ。それが感覚的に分からないみたいで、今思うとその子はイッた事が無い子なのかなって思ったんです。だから途中イカせてる時に私が手を抜いて「入って!」って途中からやらせた時も状況が分からなかったんです、体の盛り上がりが。

神田 大縄跳びに入れないのと一緒だ。

―― そうそう、結局沈めちゃったっていうのがあって、どうしたらいいか分からないって事が何回もあって。イカせるって事にすごく苦労してて結局出来ないっていって辞めちゃったんですけどその時に彼女が言ったのが「イクってそんなに大事ですか?」って言って辞めていったんですよ。その時に「このくらいの年代の子はそこに重きを置かないんだ!」って。私たちの年代こそがイカなきゃ一人前じゃないっていう概念があったんですよね、実は。だから「まだイケてないの?」とか「どうして?」って友達同士でも深刻な話になってたのが…。

神田 なるなる! 「旦那がイッてくれないのよ~」とかね。皆それで悩むんだと思ってましたね、私は。

―― でも今は全然そんなのはどうでもいいっていう世代に変わっていっちゃったんですよね。

神田 子供が31歳と27歳なんですけど、上の子は美沙樹さんと同じ感覚で、下の27歳の方はさっきの23歳の子と近いですね。「ママ、ひとつ言っておくけど今の若い子はそんなセックスに重きをおいてないよ」って言われて。

―― そうなんですってね。

神田 女はまだビッチがいるからいいけど、男は違うよって言われて「なんでなんで?」って訊いたら、「彼女がいないと困ると思う局面が少ないんだよ」って。お母さんが皆、若くて綺麗で料理がうまくて理解がある。お母さんの事を憎んでないから、そこから「俺は男だ!」って飛び出そうなんて思ってないよって言われました。

―― なるほど、そういう考え!

神田 女とセックスして、自分の巣を作って外の世界に出たいなんてあんまり思わない。

―― じゃあ母親っていうのはウザくなきゃいけないんですね、本当は。

神田 ウザいのがいい母親なのかもしれない。

―― アベレージが最初から高いんだ。

神田 高いみたいですよ。

―― だからといって別に母親とどうこうってわけじゃないですよね。

神田 その歪みすら無いから。歪みがないって、人としては病が深いようにも思えます。

―― 逆に深いですよね。

神田 そんな中で、ますます女の人は自分の体と向き合いづらいですよね、男まかせにできないんだから(笑)。

―― それでも別に構わないって思ってる世代なのかもしれないんですけど、本当にそれでいいのかなって。元々この対談をやりだしたのもそこに疑問を持ったからなんですよ。

神田 そうなんだ!

―― だから恋愛とセックスをテーマにして、今の若い人達に何か啓蒙できればっていうのが一番最初の動機だったんです。「イクってそんなに大事か」って言われたのが凄いショッキングな出来事で。「それ否定したら何が残る!?」って思ったんですよね。

神田 羨ましいです、そういう風に開き直れたらこんなに悩まないで済んだな、と思います。

―― でも悩んだから人間としての深さが出たんだと思います。

神田 それもそうですね、イク事が出来るようになった時に、今度は人をイカせなきゃって思うようになるじゃないですか。でも私は…、あ、でもこれ次の章で使いそうだからまだ言わないでおこうかな(笑)。

 

 

―― でも次の章は何も決めてこなかったんですよ、だからつばきさんとノリの中でって思ってたんです。

神田 ちょっと脱線しちゃうかもしれないんですけど、私ね、結局今、自分が見いだして一番良かった事は何かなって考えると、「私のご主人様は私だった」ということでもあるし、「私はMじゃなくてドSだったんだ!」っていう発見がありました。Mでいる事でSの人が自分をなんとかしてくれるだろうと思っていた。開かない自分の体をひらいてくれる、自分の心を開いてくれる、という期待があってSMを選んだんです。でも、究極までやった結果、自分はドSで自分を責めたかったのは自分なんだっていうのが分かって、なんか自分を責めるの楽しかったなぁって感じです。

―― 凄いよく分かります。

神田 そうなると、性以外の面でも自分を客観的に見れるようになって、病んでた部分っていうのは自分にもあったんだけど、それもほどけたような感じになっていく。「それは直せない事」「それはどうでもいい事」「それは子どもが迷惑してるから直さなきゃいけないこと」…と切り分けが出来るようになったので、その入口が性だったんだなっていう感じがします。

―― 男性性の目覚めですよね。

神田 ああ、そうも言えるかも!

―― 前に真咲(南朋)さんの会でも言ってたんですけど、やっぱり女性が自分の男性性を認めていくとどんどん面白くなってくるっていう話をしていて、母性が女性性じゃなくて男性性だと思うし、自分が男性性っていうのを認めてない女性がまだまだ多すぎるので認めてないから病んでんじゃん? っていつも思います。

神田 そう、認めちゃうと女のとしての値打ちが下がっちゃって男に幸せにしてもらえないって思いがちです。でも、それ止めた方がいい。

―― そもそも男性に「幸せにしてもらおう」って考えがまず変な感じがしますよね。

神田 こんな事言って良いのか分からないけど、今世の中ヤバいじゃないですか。男の人も大変じゃない? これでいろんな幻想が消えていって、幸せにしてもらおう信仰が無くなったらいいなーって思ってる。

―― 本当に今逆転すべきだと思ってるし、私は性別っていうものが無くなっていけばいいってずっと思ってるので。

神田 うん、良いと思う。

―― 性別が無くなったらもっと自由になれるのになって思ってるんですよね。女の人が「これは自分の中の男の部分だ」って認めた時になんてラクになるんだろうって私も思ったんですよね。「幸せにしてもらおう」から「幸せにしよう」とか「幸せにしてあげよう」ぐらいまで思ってくると凄くラクになっていくと思うんです。

神田 私も今、アラ還になって一旦寂聴化しようと思ってからまた戻ってきて、「男を抱く」という新しい感覚が持てた。そうなった時に初めて自分は自由になったんだなーって思えます。

―― でもその反面、男の闇が見えてきませんか?

神田 見えてきます。これどうしたらいいの? どんどん男を厳しい目で見ちゃうから、「この人も病んでる! この人も!」ってなってきちゃってる。

―― 「凄い病んでるなこの人!」って「ええー」思うぐらいの闇が見えてきちゃったりするともしかしたら本当に面倒くさいのは男なんじゃないかって思って。

 

 

神田 だから仕組みを簡単にして、女を侮蔑して勃起するような文化を作ってきたんじゃないですかね? 二村さんはその狭間にいるよね。

―― 確かに(笑)。でも二村さんが昔女の子を口説いてる場面に出くわした事があって、一人の女の子を時間をかけてずっと口説いてるのを訊いてたんですけど「ああこの人中身が本当に少女なんだ」って思いました。

神田 あはは、少女だよね(笑)。いつだったか「あー変なこと言ってる!」って思ったのが、「あなた達はいくらでも好きなだけ男の乳首を舐めていいんですよ!」って言ってて、軽やかな屈折を感じて面白かった(笑)。本当は「舐めてください、舐めてほしくてたまらない!」って言えばいいのに…といじらしくなりました。そういう意味で、見えなくていいところが見えちゃいますね。

―― 次の自分の中の人生のテーマはそれなのかなって自分でも自覚してます。

神田 そうかもしれませんね。アナルを気持ちよくするだけじゃ終わらないんですよね、その先があるじゃないですか。頑張って。

―― いやいやもう…、面倒くさいトコに入ってきちゃったなって(笑)。

神田 うん、お互いに。


 

話がどんどん濃くなって深淵化していく様をご覧いただきました。
ほぼ修正加筆なしのノーカット。
女性としてこうあるべき、男性としてこうあるべきの概念が少しずつ変わっていく昨今、自分の立ち位置に悩む人たちがどんどん増殖しそうです。
次回はテーマを決めずに雑談を展開しますが、その前に今回の残りも少し公開いたします。

 

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今回のゲスト:作家 神田つばきさん

 

 

1959年東京生まれ。「この先、危険!」の誘惑に勝てないアゲマン体質の蟹座。
女性発信のイベント、映像作品をプロモートする作家。

専業主婦からアダルトライターへ華麗なる転身を遂げ、
著作「ゲスママ」は多方面へ影響を与えた。
子宮ガンから子宮摘出、フリーセックス、閉経までを赤裸々に美しい文章で描かれ、
いまも性に悩む女性たちのバイブルとなっている。
自身の主催である「東京エロ画祭」では多職種の女性がエロを様々な形で表現している。
その他、「私の妄想、かなえてください・・・。」などの著作も。

神田つばきTwitter

東京女子エロ画祭

神田つばきブログ

 

 

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