2017-12-02

私たちの恋愛とSEXーkoolongの場合-“起“


2017.12.03公開

監督という職業は裏方の大将である。
決して表舞台でスポットライトを浴びる仕事ではないー
と、誰かが言ったセリフが記憶にある。

しかしそのクリエイトされたものが、あまりに特異で、あまりにマイノリティである場合、人はその製作者にどうしでも興味が湧いてしまう。その私生活までも。

アダルトビデオの中でも「陵辱系」というジャンルが出来上がったのは、いったいいつだったのか。そして同性が観れば嫌悪感しか抱かない作品を、対象となる異性はどう受け取っているのか…。女性にこんなことをしたいと思って興奮しているのか?それとも幻想だから楽しいのか、いずれにせよ距離を置きたい対象ではある。
しかしこの陵辱系の代名詞とまで言われるベイビーエンターテイメント (※リンク先18禁)というメーカーの作品のヘビーユーザー層は、意外にもM男性が多いそうな。詳しく聞いてみると、作品中で陵辱される女優に自分をシンクロさせて興奮しているのだとか。男性にではなく、女性にシンクロさせるー
現代のこの飽食の時代と言われる中で、このような器用な性癖をもつものは少しずつ増殖している。そしてずいぶん長い間、そのジャンルに君臨する監督は、いったいどんな想いで作り続けているのか、そのあたりを聞いてみたいと思う。

 


 

——  前回の二村さんからミッションを預かってまして「これを聞いてくれ」っていうのを4つほど頂いてます。その4つを起承転結にしていきたいなと思うんですけど、まず起承転結の『起』なんですが、謎に包まれたkoolongさんの私生活というのをぜひ聞いて頂きたいと言われたんですが、確かに謎ですよね?

 

koolong 謎ですか?昔から生活感がないとは言われましたが。家では洗濯をしなきゃとか、ちゃんとご飯食べなきゃとか、あとはシナリオ書いたり、映画ばっかり観てる。そんな毎日です。一人暮らしなんで。

 

—— 二村さんはあの年まで一回も一一人暮らしが無いんですって。

 

koolong そうですか。二村さんらしい。私も前は必ず誰かと一緒に暮らしていたんですが、今は一人っきりですね。顔を出したりするような実家もないし本当に家族と言えば結婚している妹がいるくらいかな。それでね、一人で暮らしてみるとこれがまた忙しいんですよね。やらなきゃいけないことイッパイ出て来て。とくに掃除と洗濯(笑)。

 

—— なるほど(笑)。

 

 

koolong 謎の部分なんてどこにもないでしょ?あとは私の場合、仕事と私生活が完全に一体化していますね。会社だけじゃなく家でも仕上げなきゃいけない事が山のように詰まっていて…。でも…、それも普通でしょ?そんな感じです。確かに以前は普通じゃないところもありました。ほとんど家に帰らなかったし、私生活も仕事も面倒なことは誰かにやってもらっていた。自分のやるべき事は現実的なことよりも頭で何かを創造することだと思っていたんでしょうね。普通って、やってみると結構大変なんですね(笑)。

 

—— 普通の人なら多分10代後半から20代前半で経験するであろうことを今やってると。

 

koolong そうそう、順番がちがう。本当は若い時に苦労をしなさいっていう(笑)。

 

—— 楽しいですか?

 

koolong つらいです(笑)。はははは、これまでどんな人生歩んできたんですかね。でも今は、自分の目の前のことにしっかり取り組んで、一歩一歩、成長出来る部分があるので…。そういう意味では充実はしています。

 

—— 縛られないという自由もありますよね。

 

koolong 確かに、自由と言えばそうなんだけど。私の場合は自由であるがゆえにギリギリの所まで攻め込んで生きていて、何かに追いかけられている状態が多いんです。危ないから立ち止まれない、みたいな(笑)。本当は家族がいて多少自由ではないけれども、自分だけじゃなく人と何かを共有しているという方が自由なんじゃないかなって思う事もあります。でも若い時はそのギリギリの緊迫感を補うものがあって、今思うと楽しかったですね。

 

—— 緊迫を補うもの?

 

koolong 『女性』と言う存在。もしかしたら男はみんなそうかもしれないけど。

 

—— そこが聞きたいです。

 

 

koolong もちろん一番幸せなのは大切なパートナー、つまり彼女がいるときですけど、自分はどちらかと言えば片思いの状態が多いんです。それも一方的すぎる感じで、夢や幻を追いかけているみたいなね。それが日々の緊迫感に潤いを与えてくれていた気がする。

 

—— ちょっと意外です。

 

koolong 追いかけている女性がいる時は一途なんです。せっかく他の女性とのチャンスがあっても頑なに本命一点買いで(笑)。何かロマンを追っているような(笑)。もうちょっと上手くやっていれば、もっと楽しかったかもしれないですけど(笑)。

 

—— ロックオンされたターゲットをひたすらに。

 

koolong そうなんですよね。思い通りにならないのが良かったのかなっていうか、自分の中でそれがモチベーションになっていた。ある女性の存在を自分の中でのヒロインのように仕立て上げて追いかけている。あれ?それってある意味ストーカーですね(笑)。高校生以降で、若い時はそんな時期がたくさんありました。

 

—— もうちょっと遡りますね、どんな少年だったんですか?

 

koolong 小学生ぐらいの時に一番怖かったものが「お化け」と「忘れ物」だったんですよ。

 

—— んふふ(笑)。忘れ物が怖いっていうのはどういう事ですか?

 

koolong 担任の先生が業務連絡をするじゃないですか。明日、何々を持って来るようにとか。あとは授業の時に宿題をいいつけますよね。で、私は忘れ物を多くしました。別に先生の話を聞いてないってわけじゃないんですけど。

 

—— 「何言ってるんだろうな?」っていう感じ?

 

 

koolong これ、今でもそうなんですけど相手の言葉をすぐに理解すことが苦手で。明日用意するものとか、注意事項とか、そう言うことを頭の中で整理できないんですね。でもね、それを補おうとする能力がついてくるんですよ。例えば、誰かが喋りはじめたら相手の顔色と何らかのキーワードで想像して、何を言おうとしているのかを先取りするとか。それを無意識に身につけてきたから、読書感想文なんかが得意でした。でも、後書きしか読んでないんです。

 

—— !!!感想文、私もそうでした。

 

koolong 後書きや、一部の箇所から全体像を想像して感想文書くっていうのは、他にも応用できる特殊な技術(笑)になっていくんです。

 

—— 私と同じだ…。

 

koolong それが今の仕事に、きっと生きているんだと思います。脳の構造的な問題なのか、文章だったり話されている声をすぐに理解する事が出来ない。でもその代わりに自分だけの世界観で様々なことを想像して創作して行く事が楽しい。人が考えないことを創造する。また、映画を観るときも登場人物のセリフやストーリーを完全に理解していなくても楽しい。良い作品は一曲の音楽みたいに捉えて観るので逆に感動が深いんです。それに、2回目も3回目も楽しくてしょうがない。毎回、初めて聞くようなセリフやストーリーが展開されていくので。

 

—— 分かります。

 

koolong でも最近は、登場人物が何を言っているのか確かめるために巻き戻して確認しながら観るようになりました。自分の感性だけで咀嚼するのではなく、何を喋ったのかをしっかり聞かなくちゃって。もともとそこは大事な事ですよね。フワフワと自分の世界を漂っているだけじゃダメだと。今までよく女性たちからは、「あなたは全然話を聞いてない!」って怒られていました(笑)。

 

—— 女性と言えば女性のタイプとかは?あと、KoolongとしてAVの中で演出する女性像とかは、どこから培われたものですか?そもそも、koolongになるきっかけを作ったものたちが知りたいです。

 

koolong koolongになるきっかけ?鬼畜になるきっかけとおっしゃりたいんですかね(笑)?きっかけはあとでお話しするとして、とりあえず作品の中での女性像なんですが、多くは悪と闘うヒロインがデフォルトです。例えばキューティーハニーが悪い奴らに捕まるとか。これって、同時に自分の中にある理想の女性像やタイプともリンクするんでしょうけど。

 

—— 石ノ森章太郎の仮面ライダーにあるヒロインのピンチみたいな?

 

koolong そう、強いヒロインがヤラれそうになって…、いや、ヤラれるんだけど(笑)。

 

 

—— そこだとGIGA (※リンク先R18)さんとかにいくような気がするんですよね。

 

koolong そうですか…?

 

—— そこじゃないっていうのは、別のスパイスが入ってるんですかね?

 

koolong 別のスパイス…。これはGIGAさんや他社さんとの違いを言いたいわけではなく、スパイスと言うより信念のようなものです。何の為にAVを作るのか、とか。ちょっと堅い話になりますけど。

 

—— それは、どのようなことですか?

 

koolong さっきのヒロインの話ですが、悪い奴らにヤラれたあと…、彼女はもっと強くなるんです。でも強くなったところは物語では描かれません。ベイビーのエロとしての基本形態って、ヒロインが悪い奴らに捕まってありえないほどイカされるっていう部分じゃないですか。このイクっていうのは良くありがちな表層上のみで女性をイカせて、どんなもんだい!って男が威張っているような構図ではなく、もっと凄まじくて神秘的なイクって言うのを目指しています。たとえば子宮と連動したオーガズムとか。一瞬で世界が変わるようなオーガズム。女性がそのような状態になると何故だか大きな存在に見えてくるんです。だから作品の最後の方では、卑劣な男たちよりもイカされた女の方が偉大に見えてくるんです。女性の中に潜んでいた、何か凄まじいものが降臨する。これはある意味で「エンパワーメント(内発的な力の開花)」の側面を持っていると。こんな感じで、アダルトコンテンツって言うのは、流行り廃りのエロ表現を駆使して射精を促すような刹那的存在意義だけじゃなく、もっと大切なものが潜んでいると私は考えています。

 

—— それは『結』で聞くからちょっと待ってください(笑)。

 

—— それではkoolong誕生のきっかけ、ルーツを詳しく教えて下さい。

 

koolong 最初はただ、女性のイクっていう現象が何ものなのか知りたかった。知りたくてしょうがなかったんです。男のイクは若き日からずっと身近にあったものだから、わかりやすいんですけど、ポルノや映画なんかで女性が男と絡んでいるシーンって、AVのようにテーマが射精ではないんですよね。どちらかというと女性の反応に言及している。そこで描かれていたり、自分が女性と接して見てきた光景から、なんだかすごく大きなものに感じていたんです。イク、が。もちろん私も男ですから、ただ単に「女を知りたい」、「感じたい」って言うスケベ根性が強いんですけど、そこには何か、正しいもの、正義のようなものが反映されているような気がして。

 

—— 自分的にkoolong監督の作品ってダークなイメージですけど、正義って一体…(笑)。

 

koolong 正義…(笑)、はブッ飛んでいますかね。善も悪も、正義もまやかしも、人間の中に共に包括して潜んでいると思うんです。ダースベーダーも惑わされてダークサイドに堕ちましたが(笑)、最後は…。だからベイビーエンターテイメントにも善の部分があります。表面上は女性(ヒロイン)が悪い男たちにヤられる(イカされる)構図ですが、その映像で伝えたいことは女性の凄さ。でも一方では、好きな女性に対して好きを伝えるのが苦手でスカートをめくりしちゃう。そんな一方的な男目線から女性をイカせたいという動機も潜んでいる。あと、イカせる事によって自分を認めて欲しいとか。これらはダークサイドかな(笑)?男の弱い部分でもあり。

 

—— ……(笑)。

 

koolong で、そんな子供じみたところを怒られたい、みたいな(笑)。

 

—— そういう事なんですね、現場でたまに私もお手伝いさせて頂いてますけど女優さんに怒られてるkoolong監督っていうのをよく見ますけど、喜んでますよね結構(笑)。

 

 

koolong 怒る女優さんって、ごく一部でしょ?でも嬉しいんですよね。かまってもらえてるような(笑)。それに何を怒ってるのかあんまり理解出来てないし(笑)。

 

—— えーそうなの(笑)。

 

koolong どんだけベイビーなんだか(笑)。

 

—— ところでなぜ、ベイビーエンターテイメントを立ち上げる時に女性陵辱というテーマを撮ろうと思ったんですか?

 

koolong 厳密に言うと陵辱では無いんですが…、まあそれは置いといて。先ほども少し話したように自分の中にあるダークサイドな部分があのような表現をしてしまっている。暴力は嫌いなくせに、大好きなものを暴虐の渦の中に巻き込ませるストーリーを想像しているんです。

 

—— 一番最初にベイビーエンターテイメントの作品を観たのがだいぶ前で立ち上げの頃だと思うんですけど、どんな悪人がこのメーカーを作ったんだって思ってましたもん。

 

koolong そうですよね、やっぱりそのように言う人が多いです。

 

—— 特に初期は酷かったですね。

 

koolong 初期の頃は徹底的にリアルにこだわりました。見直していただけるとわかりますが、特段激しいことをしているわけではないんですよ?むしろドラマ部分なんかはわざと女優さんに喋らせない。編集で本物かと思わせる演出をするんです。その残酷の中に咲く本物を思わせるオーガズムが、作品の迫力を増大させたんだと思います。また、非道な演出の方が、女性のオーガズムの凄まじさをより際立たせられるような気がしました。

 

—— なるほど。

 

koolong でもですね、今は表現者としての社会的責任を同時に考えるようになりました。これまでAVって、思うより狭い場所に隠されて蓋をされていたんですよね。でもずっと隠れてはいられない。理想論に聞こえるかもですが、AVと言っても人間の関わる産業である以上、社会への影響を無視できないし、ましてや犠牲者がいてはならない。でも、やるんなら感動を与えるくらい本物を作らなきゃというクリエーターとしての自己実現欲もあるし、そんな矛盾と闘っていくしかないと考えています。

 

—— 本物を作ろうという思いが電マを投入させたんですね。電マをAVに持ち込んだ張本人と言われてますが…。「最初に電マを使ったのはいつ、どこで、相手はどんな女性だったか」って二村さんから聞いてくれと言われます。

 

 

koolong 興味あるんですか?そんなことに(笑)。ところでベイビーエンターテイメントは本物に見えて酷いって思ったっていう話と電マとは関係無いですよね?

 

—— そうなんですか?

 

koolong 電マは酷くないじゃないですか。

 

—— 電マ酷いですよ?

 

koolong 電マって酷かったんだね。

 

—— 今は皆使い出しましたけど、当時電マを女性の一番大事な所に充てるなんて酷い話でしたよ?

 

koolong そうか。確かにあの当時は狂ってましたね。でも例えば、我々の本義はエンターテイナーであると定義した場合、お化け屋敷をやるんなら来てくれた女の子にとてつもなく怖がって欲しいじゃないですか。泣いて怒って帰っちゃうくらい。だからローターよりも電マでしょ?

 

—— …、確かに…。

 

koolong ちっちゃな遊園地のジェットコースターより富士急のドドンパでしょ?より過激にという思考になるとまずいですが、より感動を進化させたいと思うのがエンターティナーの使命みたいな。そういった意味で一番急角度に驚きと感動を与える秘密兵器が、あの当時は電マだったんですよね。やばい!すごい!みたいな。

 

 

—— 何から、電マだ!って思ったんですか?

 

koolong 松下一夫っていうインディーズAVの先駆者がいらっしゃるんですよ。くすぐりで有名な。私がこの業界に入る前によく観てたAVが『アートビデオ』と『松下一夫』なんです。その松下一夫が健康器具の電気マッサージ器を、くすぐりと同時に拘束された女スパイに使ってて。これ、女性の悶えている姿がえらく感動的でした。峰不二子がコチョコチョマシーン処刑台の上で悶える姿みたいに。それで、絶対に俺も使うって思いましたね。

 

—— 最初に使った人は覚えてますか?

 

koolong そんなの覚えてないです。電マの最初といえば、撮影前に一人でドン・キホーテに行って衣装とか買い物するんですけど、その日は健康器具売り場で獲物を探すような目で電マを見ていたんです。明日はこれで歴史を開くぞ!みたいな(笑)。で、それをレジに持っていった時、私の動きの一部始終を見ていたであろうレジの店員がニヤッと笑ったのをよく覚えてます。「あ、こいつ、ヤルつもりだな…」みたいな目をしていて(笑)。電マに関しての最初はそれが思い出です(笑)。

 

—— それが最初ですね。

 


 

ちょっと意外な展開から始まった今回の対談ですが、最初から深淵を喋り出す監督にヒヤヒヤものでした(笑)。
どうもご本人は緊張されて居たようで。
そしてこの後も、ユーザーとして知りたかったこと、作品への熱意など、いろいろ聞いていきます。
そして本題である恋愛観とSEX観についても。
次回は12月10日(日)更新です。ご期待ください。

 


今回のゲスト:AV監督 koolong(くーろん)さん

1966年X月X日 東京都生まれ 断崖にひとり置き去りにしてこそ本当の底力が発揮し始める獅子座。

 

ベイビーエンターテイメント創設者。AV監督であり、脚本家であり、演出家でもある。
AVで電気マッサージ器や電動ドリルを女性の淫部へ使うという分野を確立させた張本人。
ただSEXだけの作品ではなく、ドラマ性の強い、かつ観る者を惹き込まずにいられない脚本力が幅広いユーザー層に支持されている。
2012年映画監督として「子宮に捧げる愛の詩 女体拷問研究所の真実」を公開。
現在も【女体拷問研究所】(※リンク先18禁)シリーズは続いており、最近では「俺が行きたいM性感店」をテーマにした【ウルトラM性感研究所クラブ・ザ・サッキュバス】(※リンク先18禁)もロングランシリーズの兆しを見せている。

ベイビーエンターテイメントTwitter

ベイビーエンターテイメントブログ (リンク先はR18)

koolong関連作品一覧(リンク先はR18)

 

 

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