2017-11-12

二村ヒトシの作りかたー私たちの恋愛とSEXー「承」


2017.11.12更新

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二村「自分がカウンセリング行ってるから言うんだけどさ(笑)、治療だって考えると『おれは頭の病気なのか』って構えちゃうけど、自分のことがわかるようになって、楽になる。傾聴力の優れた専門家に嘘や隠し事のない話を聞いてもらえて、キャバクラより安い。日本人は自分の心のことに、もっとお金と時間を割いてもいいよね。」

 

遥「そう思います! なぜ人は進化を怖がるのだろうといつも思っています。」

 

 

二村「進化というか、自分の心を暴かれるみたいに感じるんじゃない? 宗教も嫌うでしょ?」

 


 

と、この内容はここからスキップして次回の“転”に繋がります。

あくまでこの対談は話した内容の順に、時系列のままにと思っていますので、

期待させてしまってごめんなさい。どうぞご容赦くださいね。

 


 

遥「自分の中の多面性って自覚してますか?」

 

二村「時系列的な、かつての自分と今の自分?」

 

 

遥「いえ、その時々によって意識的に変えているであろう多面性です。」

 

二村「分人化ってやつね。そんなに違いますか?」

 

遥「たとえば、監督のときの二村さんと、著述業のときの二村さんも違いますし、スタッフの前での二村さんも違うし、演者としての二村さんも違うなと感じました。」

 

二村「そんなに違う? ふるまいの範囲ではなくて?」

 

遥「たとえば撮影現場の二村さんはピリピリしている感じを受けます。」

 

二村「そりゃ、結果を出さなきゃいけないからねぇ(笑)。スタッフと打ち合わせしてる時はどんなふうに見えます?」

 

遥「一番リラックスしているように見えました。」

 

二村「あぁ、なるほど。」

 

 

遥「そして演者の二村さんはいかに現場を楽しむかに全力を注いでいる感じがしました。誰よりテンション高いですよね(笑)。」

 

二村「……なんかね、全然知らないんですけど、北野武さんの映画とか観ると、特にアウトレイジとか役者さんが心底、楽しんで演じてるように見えるけど、映画宣伝のための記事とか読むとね、北野組ってすごく展開が早いらしくて、あんまりリハーサルしない、台本はない、完成図が監督の頭の中にしかない、NGを出さない。それで役者が本番までの短い時間に、ものすごい追い込まれて緊張するみたいで、そりゃ世界の北野武の映画で、一発OKでやらなきゃいけないわけだから発狂しそうになると思うんだけど、西田敏行さんなんか朝からテンション全開らしくて、そういうの聞くと……羨ましいって思うよね。」

 

遥「確かに!」

 

二村「そういうの、僕なんかAVに出るとしたって、ちょこっと出るだけだからテンション上げるって言ったって、そんなこと本来は余計なことなんだよ、AVにとって。」

 

遥「そうですか?(笑)」

 

二村「僕ばっかりが浮いてる訳でしょ?(笑)もう少しテンションの上げ甲斐があることをやりたいなって思いますけどねー。」

 

 

遥「でもスタッフも皆、慣れてしまってるので、ちょっと低いって感は否めませんけどね。」

 

二村「いや、アダルトビデオのお芝居って、SM系でも人妻ものでも、濃厚なドラマをちゃんと撮ってる現場はありますよね。プレイ以前にエロいことをやるためには心の機微が大事だからってことだからだと思うんだけど、お芝居じゃなくても、テンション高めると結果的にエロくなるみたいなことなんだったら、そりゃやったほうがいいですよ。ベイビーエンターテイメントとか出させてもらってると空回りしてる自覚はありますよ。」

 

遥「いえいえ! そんなことないですよ! 今回の対談のテーマでもあるんですが、恋愛脳ってわかります? 常にいま自分と向き合ってる相手に対して瞬間的に恋愛して居るっていうのは、すごく大事なことだと思って居るんですよ。」

 

二村「うん、それはすごく大事。」

 

遥「でもお疲れ様でしたとドアを閉めた瞬間にぜんぶ忘れてしまってもいいと思っているんですが、それを二村さんは自然にやっている気がしたんです。」

 

二村「僕、そういうとこあるよ。その時、相手に対してある程度、誠実に振る舞わないと……、いや、誠実とは違うのかな。自分のやれることは全開にしておかないと、面白いものが生まれないような気がする。」

 

遥「そうですよね!」

 

二村「この話もさ、最初はどうなることかと思ったけど、だんだん噛み合って来てるじゃない? こういうプロセスですよ。」

 

 

遥「そう、なにか生まれますかね?(笑)。」

 

二村「そういうプロセスしか、やることないんじゃないですか。人生なんて(笑)。」

 

遥「もはや結論ですか(笑)」

 

二村「だって、それ以外に、べつに人生でやるべきことないでしょ? きっと、それをやってないで生きてる人がたくさんいるんだけど、でも多くの人が、たとえばセックスくらいはしてるでしょ? セックスくらい真剣にやりゃいいんだよ。いや、いま普通にセックスする人すら減ってるって言われてるか。だからそれも多くの人が、他者とは噛み合わないものなんだってことを前提に、結果的に噛み合うこと夢見て全開でやらないからですよ。つまりさ、みんな、すごくつまらないセックスをしているんだと思うよ。つまんないねー。」

 

遥「私も興味本位でお客様によく聞きますけど、つまんないセックスしている人は本当に多いです。さっきのご夫婦の話もそうですけど、最後にセックスをしたのは十数年も前だとかいうご夫婦が多いので、奥さんホルモンバランス崩れて生理止まりませんか?と聞いても、自分の奥さんにきちんと生理が来て居るかどうかもわからない旦那さんが実に多いんですよ。もうびっくり!!」

 

二村「うんうん。そうでしょうね。」

 

 

遥「なので、さっきの恋愛脳の話ですけど、ずっと長く一緒にいる人とは、恋愛できないのかなって思うのですが・・・。」

 

二村「そりゃ、ずっと長く一緒にいたら恋愛ではなくなるでしょ。できなくなるんじゃない? 恋愛しなくてもいいよ。」

 

遥「しなくてもいい?!」

 

二村「大丈夫ですか? 対談の主旨から外れてませんか? こういう話題を、いい気になってさせてると、僕どんどんカッコよくなっていきますよ?(笑)」

 

遥「あ! それは困ります!(笑) では、切り替えて・・・では二村さんはセックスをしたくなくなる年数ってどのくらいですか?」

 

二村「ノーコメントで。」

 

遥「妻が母になるとやらなくなるという方が多いのですが。」

 

二村「それは、つまらない表現だね。それは言い訳してるだけじゃない? 子供を産まなくても結婚してなくても、何年も一緒にいたら、やらなくなる人が多いでしょ。」

 

遥「出産がきっかけになるんですかね?」

 

二村「きっかけにはなるかもしれない。」

 

遥「なぜきっかけになるんでしょう? 女としては出産という大仕事をしたわけですよね?」

 

二村「むしろ、ご苦労さまでしたって、ねぎらってほしいタイミングだよね。性交はともかくとして、もっと愛して欲しいよね。」

 

遥「そうですねぇ。なぜそういうことになっちゃうんでしょうね。」

 

二村「これは奥さんのせいじゃないと思うんですけど、奥さんの気持ちが子供に集中するからじゃないですか? その隙に、逃げるんじゃないですか? 男は。」

 

 

遥「逃げる?!(笑)そこで子供に嫉妬するんじゃなくて?!」

 

二村「嫉妬もしますよ。その嫉妬で関係は複雑化しますよ。」

 

遥「嫉妬、素敵じゃないですか。でも恋愛し続けることやセックスをし続けることとは別問題なんですよねぇ?」

 

二村「ていうか、そもそも恋と結婚とセックスが違うものなんだから、それぞれ別の人とやったほうがいいんだよ。」

 

遥「え!!! そこ、もう少し詳しく聞いて良いですか?」

 

 

二村「その3つを同じ相手と過不足なくできて、お互い満足っていう奇跡的なカップルもいないわけじゃないけど、それ奇跡でしょ。どれかを諦めるか、凡人が3つともやりたいなら、それぞれを違う人とやったほうが安全なのでは。」

 

遥「3人必要ってことですか・・・。じゃあ、恋愛はどういう人がいいですか?」

 

二村「心がときめく相手。だからアイドルでもいいし、架空のキャラでもいい。」

 

遥「常にドキドキをくれる人ですか?」

 

二村「常にじゃなくて、時々憧れさせてくれて、それを裏切らない。つまりシラケさせないでくれる人。」

 

遥「それって、でもある程度の期限付きってことですか?」

 

二村「密着しなければ10年でも20年でも、もつんじゃないですか? 1週間に1回とか、1ヶ月に1回とかしか会わなければ、同じ人と恋し続けられるんじゃないかな。だから永久に告白しない“片思い”とかも理想的だよね。」

 

遥「それをそのまま結婚生活にはできないってことですよね・・・離れていれば常に刺激的ですもんね。ではセックスは?」

 

二村「セックスはなるべく同じ人と、たくさんしたほうがいいでしょ。深まるでしょ。」

 

 

遥「どんどん濃くなっていきますもんね。セックスが飽きるっていう感覚はどういうことなんですかね?」

 

二村「セックスが飽きるってことは、最初からマジメな真剣なセックスをしてなかったんじゃないの? セックスだけをマジメにやってりゃ、合わない相手とは最初の何回かで“合わないな”ってわかるよね。セックスが飽きるってことは、相手を乗り越えちゃった、感動がなくなっちゃったってことだよね。恋には飽きるけどね。みんな、じつはセックスしてないんだと思う。セックスしてると称して、マンコとチンコ使って恋愛しかしてないんだと思う。」

 

遥「すごく頷けます。」

 

二村「とは言ってもマジメなセックスでも、何年かしてたら飽きちゃうことはあり得る。そういうときに、こっちが恋してるだけの相手や、セックスだけの相手だったら平和的にチェンジさせてもらえばいい。でも結婚生活がセックスありき前提で離婚もできないとなったら悲劇だよね。」

 

 

遥「そこはすごく大事なことのような気がします・・・じゃあ結婚は?」

 

二村「結婚とか同棲ってのは、生活ですよね。」

 

遥「結婚は社会って聞きました。」

 

二村「社会だね。太陽の光の下にある営みです。」

 

遥「この3つを別々に鼎立するって、夫も妻もやるべきだとお考えですか?」

 

二村「むしろ、妻のほうがやるべきでしょう。」

 

遥「なるほど・・・でも結構やってる人もいますよね。仕事柄ラブホが職場だったので(笑)、すれ違う人ほとんど不倫だろうなと思ってましたもん。」

 

二村「それは都会だからだよね。地方にいくと不倫は大変そうだよね。」

 

遥「街が狭いから! 知り合いだらけ!!」

 

 

二村「まあ、一人一台、車に乗ってるわけだから、田舎の人だったら仲良くなった後は遠くまで行けばいいのか。大変なのは、電車もあるけど人口もそこまで多くない中規模の都市に住んでる人か。」

 

遥「妻こそ結婚と恋愛とセックス、3つを分けるべきだに戻ります。それは、誰のために?」

 

二村「自分のために。夫や子供のために。とくに、産んだ子供と癒着したり圧迫したりしないために。」

 

遥「それは・・・経験ないですけどちょっと分かる気がします。でも男性も精神バランスがすごく大事だと思って私は仕事してきたんですけど・・・。」

 

二村「そうなんですよ。女には風俗がないからね。」

 

遥「でも風俗に行ってお金まで使って気を遣ってる人だらけですよ?」

 

二村「つまり男は家でも風俗店でもリラックスしてない?」

 

遥「そうですそうです。」

 

二村「風俗の客って、気を使ってる人は、けっこう使ってるよね(笑)。もちろん店の種類にもよって、普通のヘルスとかだと長くて汚い爪でガシガシやる馬鹿は、いまだに多いって話も聞くけど。」

 

 

遥「でも風俗っていつも歴史とともに、社会情勢とともに歩んで来たなって思うんですけど、ここにきて所謂、風俗嬢という概念が変わったなって実感するんですよね。それを変えてしまったのが今の30代、40代だと思うんですけど、要するに自分は何もしたくないけど気持ちよくなりたい。気も遣いたくない。そんな要望がM性感を増やしたと思うんですね、ここからなんだか変わって来た。」

 

二村「それを、その専門家である遥さんが言うか(笑)。でも、ほんとにそうなんでしょうね。」

 

遥「男性にサービスするという定義が変わって来た気がします。」

 

二村「女性性とか女の肉体に“触れる権利”をを売ってるんじゃなくて、男に本当に受け身の快楽だけを売ってるって感じになってきたのかな。」

 

遥「そして今の20代に至っては、相手とどうにかなろうというよりは、自分さえ気持ちよければ良いという考えで風俗を利用する方が多いようなんですね。私の知人にデリヘル嬢歴がすごく長い子がいるんですが、最近の若い子は服を脱がなくて良いと言われることがあると。これってデリヘル嬢にしたら屈辱なんですよね。彼女らは女で、裸で仕事しているわけですから。」

 

二村「つまり客の男は全裸になって、自分の乳首とチンコは舐めてくれというわけですね。でもお相手は着衣のままでいいと。まぁ、こういったら大変失礼だけど、歳を重ねた女性の裸が、その若い男にとっては気持ち悪いんでしょうね。」

 

遥「でもずいぶん体にお金をかけて来た子なんですけどねぇ。」

 

二村「風俗サービスっていうものの密室性というか、どんな商品が提供されてるのか、そのお客のニーズとマッチしてんのかって問題があるでしょ。遥さんの店みたいに“ニッチですよー!”って宣言してれば、かんちがいする奴は来ないだろうけどさ。“普通の風俗サービス”とは何なのかってことですよ。せちがらい話だけど。

そのベテランの女性人が、すごい素股の名手で、40代なんだけど、それにしては脱いだらすごい綺麗な体をしている、美熟女マニアの素股好きの客だったら垂涎の的だったと。ところが、その価値がその若い客には伝わってなかった。なんだかわからないまま指名して、なんだかわからないまま希望を伝えて、脱がなくていいいから乳首だけ舐めて手コキだけしてくれって言うのは、お互いにとって不幸だよね。売っているものを、その客がは買わないというのは。」

 

 

遥「それもそうなんですけど、裸の女の子とイチャイチャしようという目的のお客様が少なくなってきたってことなんです。」

 

二村「それは時代だよね。身体性とか、最初に自分が求めていたんじゃないものへの好奇心も、なさすぎる。」

 

遥「特にいまの20代は実に合理的にできていて、容姿のいい子や、安い店よりも1回で得る快楽の確実性を求めて不相応な高いお金を払ってまで来る。しかも失敗しないように隅から隅まで情報を調べ上げてくる。それって、どうなのかなって。」

 

二村「どうなのかなって、そりゃ情報消費社会が進歩していったら当然の帰結として、そうなりますよ。そうやって人類はセックスに飽きて滅んでいくんですよ(笑)。」

 

遥「滅んじゃうんですか(笑)。でもAVがだんだんなくなっていくと言われていますが、風俗もなくなっていくんじゃないのかなって思うんです。」

 

二村「人類が完全に衰退するまでの短い間、なくなりはしないんじゃないですかね。とりあえず、すべてAIになるんじゃないかな。」

 

 

遥「自分の性衝動もAIが処理・・・。」

 

二村「だってそのほうが間違いがないじゃん。」

 

遥「まぁ、そうですね・・・」

 

二村「もっというと、そこは生身の女の人がいないほうがさ、女という不確定要素がの高いものが介在しないほうが、男にとっては、よくなるんじゃない?」

 

遥「となると、もっと“つまんないセックス”が増えるということですね?」

 

二村「人類には楽しいセックスは必要ないんでしょうね。」

 

遥「そこは、恋愛評論家の二村ヒトシさんとしては、なにかこうなんとかしなきゃみたいなものはないんですか?(笑)」

 

二村「10人に1人の頭のおかしい人が、こっそり魅力的なセックスをしていれば、いいんじゃないですかね。」

 

遥「えー!! 淘汰ですか?(笑)」

 

二村「淘汰されていいんじゃないですか。だって、どうあがいても全人類は僕の書いた本を読んでくれないしね(笑)。」

 

遥「そこですか(笑)」

 

 

二村「少なくても日本人を啓蒙するならTVに出なきゃ、届かない。」

 

遥「確かに書籍では弱いかもしれないですね。」

 

二村「でもTVに出て『皆さん楽しいセックスをしましょう!』って主張してもなあ……。そういうの、女性の論客のほうが向いてると思うんだけどね。女性がTVに出て『、現代のセックスは情報や偏った欲求が多すぎて、肉体も情動もない、間違ってますよ』って、あぁ、でも男のほうが良いいのか。なんでかっていうと、男は女のいうことは聞きたがらないから!」

 

遥「あぁ、それはもう人類原始からの習性というか。」

 

二村「だから俺がやるべきなのかもしれないけど・・・、でもそこは最初から言っている通り、誰かがお膳立してれたらやりますけど(笑)。」

 

遥「自発じゃないんですね(笑)。」

 

二村「もちろん。」

 

遥「なんかそうなると、二村さんの自発はどこなのかなって疑問に思います。」

 

二村「自発は、ない。」

 

遥「もうないですか? やりたいこと。」

 

二村「ないね。母親も死んだし。」

 

 

遥「でも二村さんがお母様亡くされたときのツイートがすごく好きで、この感性でぜひ小説をと思いましたけどねー。小説家の方が向いているのかもと思いましたよ。」

 

二村「それも万が一、依頼があればやります。」

 

遥「それも自発じゃないんですね(笑)。」

 

二村「うん、違うね。」

 

遥「逆に、どこをいじれば自発するのか探りたくなるんですが(笑)。」

 

二村「みんな自発するから失敗するんだよ(笑)。ロクなことないよ、自分からやりたくて手を挙げたことなんて。」

 

遥「そうなんですか?」

 

二村「いま、現代哲学でアツいトピックなんだけど、中動態という概念がありまして。、人間には意志なんてものはない、そんなものは幻想だ……というのは、ちょっと前からもう言われていて、これが自我だ、自分の心だと思っているものは脳のモニタリングに過ぎなくて、人間ていうのは入ってきてる情報から、自分の行動を身体のそれぞれの細かい部分が選んでいて、それで行動をしている。脳が統合して指令を出しているわけじゃない。脳というのは一瞬遅れて全体をモニタリングしているだけで、自我だと思い込んでる“意識”が『やろう!』と思ってやっていることなんてないんだそうですよ。やってしまったことに対して後から意味を付けてるのが脳であり意識であるというのが今の脳科学の説なんですけど。」

 

遥「あー。」

 

二村「それで、中動態っていうのは、現代の文法が英語でも日本語でも、受動と能動だけになってしまっていて、人間は言語を使って考えるから、人間の動きというものは意志をもって「する」つまり責任あることと、意志と関係なく「させられる」つまり責任ないことに二分されてて、それがまた現代のダサい自己責任論の元凶なんだけど。でも大昔の文法には中動態という言葉があって。恋の話で考えたら、誰かを好きになろうと意志して好きになること、ないじゃないですか。、気がつくと好きになってるでしょ? 恋人がいない自分はダメだからがんばろう、なんて自我を働かせて、好きになろうとして好きになると、だいたい失敗するでしょ」

 

遥「実は、そんな時期もありました(笑)。ある種の自己洗脳ですけどね。」

 

二村「まさに……」

 

遥「ちょっと脱線しますけど、私、ワキガが苦手で、ワキガの匂いを嗅いでいるだけで下痢になるんですけど、本当にこれは生理的なものなのか、それとも精神的に苦手なだけなのか、試してみたかったんですね。それで、試しにワキガの男性と付き合ってみようと思い立ったんです。」

 

二村「チャレンジャーですね。」

 

遥「これで、どうなるか自分を試しみたかったんです。その時にちょうど良い素材がいたので、自分に洗脳をかけて、この人が好き、この人が好きと言い聞かせて付き合ったことはあります。」

 

 

二村「(笑)ど、どうでした?」

 

遥「2週間でギブアップでした(笑)。自己洗脳の結果、私は外人とは暮らせないと出ました(笑)。」

 

二村「なるほどね。そういうこともありますね(笑)。」

 

遥「先ほどの二村さんの脳科学の話と酷似しているんですが、最近、人体も昔の見解と変わってきていて、やはり脳はひとつ遅れて全体についていってると解明されたんですね。臓器それぞれに意思があると。それがネットワークを通じで最終的に脳に到達するというのが証明されてしまったようです。」

 

二村「むしろ臓器にこそ意思がある、自分の意思だとか魂だとか特別視しているものは、意思でも魂でもはない。」

 

遥「そうでそうです。自分のやりたいと思っていることは、果たしてどこがそう思ったのかを見極める時代なんだなぁって。」

 

二村「時代もそうだし個人的にも、この歳になると、がんばろうって意思が無駄だと僕は思う。(笑)。それは、なにもかもが無駄だっていうニヒリズムじゃないんだよ。やるべきことは、やります。やるべきでもないことに、つまらない自意識にかられて手を挙げることが無駄。でも自意識じゃなくて、自分の肉体だったら周囲や相手の空気とシンクロしてるから、本当にやるべきことは絶対わかる。」

 

遥「そういうことですよね。この人のことが好きって思った時、自分の身体のどこが好きと思ったのか、本当に好きなの?って問いただす必要がありますね。」

 

二村「そのほうが不幸な恋愛をしなくて済む。一目惚れなんて、だいたい不幸になります。だいたいというか確実に不幸になる。」

 

遥「著作に書いてましたね。心の穴が同じって。」

 

二村「一目惚れっていうのは、心の穴の誤作動ですから。一番よくない。」

 

遥「だいたいロクな結果にならないってことですよね。どうですか? 恋愛はロクな結果にならないって定義つけちゃいますか?」

 

二村「恋愛っていうか、恋に暴走するとのはロクな結果を生まない。だから恋は、結婚ともセックスとも切り離したほうがいい。ぜったい暴走して失敗するって、わかってやってればいいんですよ。恋の失敗は楽しいこともある。ていうか、自分というものを知るきっかけになる。だけど結婚やセックスは、失敗したらつまらないじゃないですか。ことに結婚の失敗は、弱い人間にとっては人生を損ないますよね。」

 

 

遥「今の世代の子たちの考えってどう思いますか?」

 

二村「このままでいいんじゃない?」

 

遥「えー。このままでいいんですか?(笑)。」

 

二村「今の政治もそうだけど、そうとう酷いよね。でも酷い状況って延々と続いていると、必ず揺りかえしが起きると思うけどね。長い目で見れば。」

 

遥「でも男性って、いまは男性不妊症のような専門外来もできる時代になって、これまで隠されてきた繊細である部分が表立って出てきた時代になったじゃないですか。それでいいんですかね?」

 

二村「もっともっと繊細になって淘汰されて、人口に対する男性の割合が減ったほうがいいんじゃない? 男性不妊症って、?精子の量が減ってるってエビデンス? それとも、まともに膣内射精ができないってやつ?」

 

遥「そうです、その膣内射精ができないほうですね。」

 

二村「それ、本当だったら男たちが、それをいちばん一番表に出したくない、知られたくない部分でしょ。今の若い男は開き直ってるのかな?」

 

遥「出さざるを得ないってことですか?」

 

二村「インポテンツとか、少子化とかいう話も、昔だったら男は絶対したくない。だけど、覆えないくらい世間的に大事件になってきてるってこと。」

 

遥「そうですよね・・・」

 

二村「だって本当はインポって言葉を聞くだけで、いばってる老人たちは、みんなビクッとする。」

 

 

遥「今までは、いちいちそういうことで傷ついてますってアピールがなかったじゃないですか、むしろ自分を責めてましたよね?」

 

二村「女性のせいにしてたんじゃない? あ、ちがうな。女性のせいにするのは自己肯定感のない女性本人か。私が魅力的じゃないからだろうって自責するもんね。」

 

遥「なんでこうなったんですかね?」

 

二村「なんでだと思います?」

 

遥「うーん・・・世代別で違うんだと思いますけど、いまの30代は全く隠さないですよね。」

 

二村「エヴァンゲリオンのせいですかね?」

 

遥「え?!(笑)。」

 


 

まったく噛み合わないまま。思わぬ方向に進んだ対談内容ですが、

両者譲らない会話は、その後どんどん同調していきます。

まるで違う次元で生きてきた生き物のようですよね(笑)。

 

さて、次回の“転“では、今度こそ二村さんのプライベートが出てきます。

奥様のこと、息子さんのこと、そしてご自身のことー

これまで二村さんの著作を読んだことのある方は、

また違った角度から読み直せると思いますし、

これから読もうとされている方は、深い部分で共感できることが多いのかもしれません。

 

あらゆる恋愛を見て、知って、実感してきたからこその、

ひとつひとつの言葉を、どうぞご堪能くださいね。

 

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今回のゲスト:AV監督・作家 二村ヒトシ(にむら ひとし)さん

1964年11月27日 東京都生まれ 知的好奇心が止められない射手座。

慶応義塾大学在学中、演劇の演出家や声優を志すもAV男優になる。

その後AV監督となり、この世に痴女ブームを巻き起こした張本人でもある。

女性の騎乗位と男性の乳首について専門に研究中。男のアナル、女装子についても。

ソフトオンデマンド顧問、美少年出版社主宰、MotheRs主宰。

恋愛やセックス独特のモヤモヤを多方面から切り崩し分析した著作多数。

二村ヒトシwiki
二村ヒトシTwitter
二村ヒトシ著作一覧
二村ヒトシ関連作品一覧(リンク先はR18)

 

 

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